【番記者の視点】名古屋の長谷川健太監督、2試合連続無失点の背景に大きな決断 「簡単に昨年のイメージから脱却できない」

スポーツ報知
名古屋・長谷川健太監督

◆明治安田生命J1リーグ▽第2節 FC東京0―0名古屋(20日・味スタ)

 名古屋の長谷川健太監督の人望の厚さが、試合中でも伝わってきた。昨季終盤まで指揮した古巣・FC東京との一戦。前半24分、FC東京のスローインの場面で、長谷川監督が立つテクニカルエリア近くにいたFWディエゴオリベイラが握手を求めた。同38分には、同じようにFW永井謙佑も握手をかわした。初めて見た試合中の出来事に、昨季までFC東京を担当した身としてうれしく、心がじんわりと温かくなった。試合は共に譲らず、3試合ぶりの勝利はお預け。指揮官は「お互いに持ち味は出した。最後、仕留めることが出来なかったが、狙いとしているサッカーはやっと出来るようになった」と、スコアレスにも成長を感じた。

 悩んだ末の決断だったと想像する。13日のルヴァン杯・広島戦(1●2)から、4バックだった布陣を3バックに変更した。状況によって前線が手薄になるため、FC東京では一度も取り入れたことがなかった。前へ前への推進力を持った「アグレッシブなサッカー」を目指す上で、こだわってきた、できればやりたくなかった(であろう)選択をすることは、容易ではなかったはずだ。

 それでもシステム変更を選んだのは、このチームを強くするためであり、リスペクトがある。18年にFC東京の監督に就任したとき、前年度はリーグ13位だった。今季から指揮する名古屋は、20年が同3位、21年が同5位とルヴァン杯優勝。昨季の30失点は王者川崎に次ぐリーグ2位だった。「そんなに簡単に昨年のイメージから脱却はできない」し、「彼らは彼らなりに自分たちがやってきたサッカーに自負がある」。中位だったチームを上位に引き上げることと、上位チームをリーグ優勝に導くことでは背景が異なる。

 こだわりより、もう一度、自信を持ってもらう選択。結果、12日の川崎戦からリーグでは5試合連続で先制点を奪われていたが、鹿島、FC東京と上位相手に2試合連続無失点。DF吉田豊は「守備は堅く、粘り強くできている。持っている100%は、僕自身もチームも出せていた」と手応えを感じたようだった。

 試合後、FC東京のDF小川諒也、MF安部柊斗ら“師弟関係”の選手を始め、指揮官のところへ次々とあいさつに訪れていた。クラブを離れても変わらない信頼関係を見た名古屋の選手たちも、「健太さんについていけば大丈夫」と感じたのではないかと思う。シーズン終了後に振り返ったとき、この敵地での勝ち点2が大きな意味を持つように、次につながるといい。(元FC東京、現名古屋担当・小又 風花)

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