FC東京ルーキーMF松木玖生と札幌主将DF宮沢の絆…室蘭・輪西出身の2人の特別な思い

スポーツ報知
FC東京・松木(左)と札幌・宮沢

◆明治安田生命J1リーグ▽第9節 札幌0―0FC東京(16日、札幌ドーム)

 FC東京は、札幌と0―0で引き分けた。敵地での札幌戦は、12年に勝利して以降、3分け3敗となった。北海道・室蘭市出身の高卒ルーキーMF松木玖生(くりゅう、18)はフル出場し、攻守にわたって存在感を発揮した。

 激闘を戦い抜いた松木の元に、札幌の主将DF宮沢裕樹(32)が歩み寄っていった。後輩は丁寧にお辞儀をすると、一回り以上離れたあこがれの先輩とユニホームを交換した。「少年団の先輩で、自分が小学校の時に宮沢選手がチームに来てくれた時に写真を撮ってもらって、プロの舞台に憧れました。そういう先輩と一緒にサッカーができて良かったです」と感慨深げに話した。

 2人は共に鉄鋼業が盛んな室蘭の小さな街、輪西地区で育った。互いの実家は300メートルほどの距離にあり、地元の少年団「室蘭大沢FC」でサッカーを始めたという共通点を持つ。2人を指導した恩師の池田和弘さん(45)は「田舎のチームなので、どうしても人数は他のチームよりも少なかったですけど、裕樹も、玖生も、人のせいになんて全然しなかったですね。2人とも練習を一生懸命やって、才能を磨くという作業をずっと頑張っていた。本当にこんな小さい街から、2人もJリーガーが出るなんてすごいことだと思います」と当時を振り返る。

 その池田さんや自身の両親が見守る前で、松木は鬼気迫るプレーを見せた。「チームに貢献するために得点を求めていました」と言うように、積極的に何度も相手の背後へ飛び出した。前半29分のMF荒野拓馬との競り合いでは、相手の足を恐れずに頭からボールに食らいつきファウルをもらうなど、体を張り続けた。最大の見せ場は試合終了間際の後半46分、左サイドのFWアダイウトンからのクロスに飛び込み、懸命に右足を伸ばしたが、あと1歩及ばなかった。「最後の詰めは甘くなりましたけど、もっともっと貪欲に狙っていきたいと思います」。がい旋試合での初ゴールはお預けとなったが、走行距離はこの試合トップの12・608キロを記録するなど攻守に貢献。6年前は小学生だった18歳が、北海道で成長した姿を見せた。

 対する宮沢も3バックの中央でフル出場。抜群の読みでFWディエゴオリベイラの突破を防ぐなど、FC東京の攻撃をシャットアウト。正確なパスで攻撃を組み立てるなど、プロ15年目の先輩の貫禄を示した。

 試合後、宮沢は一回り以上離れた後輩との対戦をこう振り返った。「彼が少年団に所属している頃から、いい選手がいると聞いていました。プロという舞台で一緒にできるのは僕たちもうれしいですけど、僕たちに関わってくれた人たちも、今日はたくさん来てくれましたし、喜ばしいことだと思います」と感謝した。続けて「彼は日本サッカーを背負って立つような選手だと思いますし、これからキャリアを築いていくと思います。僕もこれから長くやりたいですけど、そんなに長くはないですし、できるだけピッチで戦い続けて切磋琢磨(せっさたくま)していきたいなと思います」と堂々と戦う後輩に触発されたことを明かした。

 室蘭の小さな街から育った2人のJリーガー。7月6日、今度は味の素スタジアムで相まみえる。「持ち味の運動量だったり、ボール奪取の所は積極的に行くようにしています。自分はうまいプレーヤーではないので、もっと泥臭くゴールを狙っていきたいと思います」と松木。故郷での特別な試合を経て、18歳がまた一回り成長を遂げる。(井上 信太郎)

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