桐蔭横浜大が明大に惜敗 13日に急逝した仲間のために日本一を目指す

スポーツ報知
J2甲府内定の桐蔭横浜大MF水野颯太

◆関東大学サッカーリーグ ▽第4節 明大 2―0 桐蔭横浜大(16日、フクアリ)

 桐蔭横浜大が明大に0―2で敗れた。J2甲府に入団が内定している水野颯太、大学屈指のストライカーの山田新を中心に攻め込んだが、相手の守備を崩せずに初黒星。今月13日にがんのため亡くなった分析担当の増尾健(たけし)さんへ白星を捧げられなかった。

 桐蔭横浜大は明大ゴールに再三迫ったものの、相手防御は堅く、逆に前半終了間際に先制点を奪われた。後半23分にも失点。2点を追う後半25分、桐蔭横浜大の安武亨監督は流れを変えようと水野と山田を下げ、FW寺沼星文、MF笠井佳祐らを投入。それでもシュートは90分でわずか3本。安武監督は「日本一を争うチームは強かった。健をいい形で送り出したかったが、明大の方が強い思いを持っていた」と、空を見上げ、唇をかみしめた。

 13日に増尾さんが、亡くなった。20歳だった。中学2年で骨肉腫を発症。プレーはできなかったが、どうしてもサッカーに関わりたいと高校でも分析を担当した。強豪・桐蔭横浜大の門をたたいた後は、足を引きずりながらもグラウンドに姿を現し、映像を見て、意見を出してくれた。山田は「サッカーが大好きだった。健みたいにやりたくてもできない人がいる中で、サッカーをできる僕たちは幸せです」と話した。増尾さんの懸命な姿を見ると、イレブンは自然と力が湧き、苦しい練習ももう一踏ん張りできるようになった。

 それでも病魔が増尾さんの身体をむしばんだ。手術で回復したが、昨秋にがんが転移し、昨年12月には視力を失った。それでも春先までグラウンドに出て、「回復しました」と気丈に振る舞った。

 部員は各自がLINEでメッセージを送って励まし続けた。13日に死去が安武監督から伝えられると、詳しい病状までは知らされていなかった部員たちは驚いたという。「まだ20歳ですよ…かわいそうに…」と指揮官。そういうとフクアリの正面玄関前で人目をはばからず、大粒の涙をこぼした。

 チームは増尾さんのためにユニホームを作った。他会場を含めて各試合で試合前に黙祷も行われた。増尾さんの両親も観戦に訪れた一戦で、安武監督は「生きた証しを残したかった」と語った。チームは一丸となって立ち向かったが、名門・明大に軍配が上がった。

 新たな目標もある。MF高吉正真は「健を日本一にしよう」と新たな目標ができたことを明かした。大学の頂点が立つことで天国の増尾さんに笑わせたい。“最後の別れ”は19日。悲しみを乗り越え、桐蔭横浜大は戦い続けていく。(山田 豊)

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