淵上誠氏 ゴロフキンに前歯4本落とされた男が村田にエール「後悔なくぶつかってほしい」

スポーツ報知
12年、対戦相手のゴロフキンの写真にかみつく淵上誠

◆プロボクシング ▽WBA、IBF世界ミドル級(72・5キロ以下)王座統一戦12回戦 WBAスーパー王者・村田諒太―IBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(4月9日、さいたまスーパーアリーナ)

 元東洋太平洋・日本ミドル級王者の淵上誠氏(38)は日本人選手としてゴロフキンに初めて挑み、その恐るべき強さを日本に広く知らしめた。

 2012年5月、ウクライナで行われた一戦。丸3年負けなしで自信に満ちていた淵上氏は王者の名前を知らなかった。「ゴロフキンはグイグイと前に出るタイプなので『いなしていけばチャンスはある』と思いました」。そんな淡い期待は軽く砕かれた。

 前日計量。淵上氏はゴロフキンが両手で握手を求めてきた時にこう予感した。「人間的な余裕の表れを感じて、『この人、ムチャクチャ強いんじゃないか』と思った」。開始のゴングが鳴ると、1回終盤に右まぶたを切られ、出血で視界を阻まれた。「パンチの出どころや距離感が分からなくなった。もろに食らうパンチは鈍器みたいな硬さだった」

 2回のダウンの危機をしのいで戻ったコーナーでマウスピースを外すと「前歯4本がボロボロと落ちた」と完全に動揺した。3回に2度目のダウンを取られ、力尽きた。直感が当たり、「それまではボクシングはやってみなきゃ分からないと思ってましたが、ゴロフキンは何があっても負けない。事故も起きない」。規格外の強さに価値観も打ち崩されると同時に、敬意が湧いたという。

 自身の挑戦から3か月後、ロンドン五輪で金メダルを獲得した村田の輝きに目を奪われた。プロでも世界を取った村田の実力を「外国人選手を下がらせるパワーは日本人離れしている」と評し、あえて怪物・ゴロフキンに挑む姿勢を「純粋にすごくかっこいい」と話す。試合会場で観戦予定の淵上氏は「村田君は自分の可能性にかけ、後悔なくゴロフキンにぶつかってほしい」と、歴史を見届ける。(飯塚 康博)=おわり=

 ◆淵上 誠(ふちがみ・まこと)1983年7月30日、鹿児島県生まれ。38歳。鹿児島・出水工卒。2004年にプロデビュー。06年全日本ミドル級新人王。10年に日本同級王座を獲得、11年に東洋太平洋との王座統一に成功。12年にWBA王者時代のゴロフキンに挑戦。16年の試合を最後に引退した。通算成績は23勝(14KO)12敗。身長180センチの左ボクサーファイター。

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