花組「TOP HAT」完走!柚香光「アステアさんにレッスンしていただいているような不思議な感覚」

スポーツ報知

 宝塚歌劇花組「TOP HAT」(脚本・演出、齋藤吉正)がこのほど、大阪・梅田芸術劇場メインホールで千秋楽を迎えた。

 現役屈指のダンサーの花組トップスター・柚香光(ゆずか・れい)が尊敬する米ハリウッド映画のレジェンド、フレッド・アステアが主演した映画「TOP HAT」(米1935年公開)の舞台版。宝塚では、元宙組・朝夏まなとのトップ始動として15年3~4月に初演され、7年ぶりの再演となった。

 当時は東京でも上演されたが、本公演は大阪のみ。前回同様ソフト販売はされると思われるが、CS放送「スカイステージ」での放送は版権の関係で望めず、見られたファンには貴重なステージになったはずだ。

 柚香は千秋楽のカーテンコールで「春らんまん。大好きな桜も満開。この季節の中で、みなさまの愛に包まれた日々、本当に幸せでございました」と笑顔。「1か月のお稽古、15日間のステージ。毎日なんだか、遠隔でアステアさんにレッスンしていただいているような、学びをいただいているような不思議な感覚で懸命に務めてまいりましたが、そのような経験をさせていただいたことにも感謝しています」と、あいさつした。

 “宙組の太陽”とも形容され、笑顔がまぶしかった朝夏と同じく、柚香の個性が生きたミュージカルだ。主人公のジェリー・トラバースは世界を股にかける米ブロードウェーの人気スター。軽快なタップダンスや、ポールハンガーとの“デュエットダンス”を、力みなく踊れる生徒は、そうそういない。昨年1~2月に上演された「NICE WORK IF YOU CAN GET IT」のプレイボーイ・ジミー役もそうだったが、自信過剰に映るほどのモテ男役にも説得力がある。柚香とブロードウェーナンバーとの相性の良さも心地いい。

 ジェリーに猛アタックされ、恋に落ちそうな刹那、彼を既婚者と勘違いしてドタバタ…となるデイル役はトップ娘役・星風まどか。前作は宙組トップ娘役時代の前任者・実咲凛音(みさき・りおん)で、ともに初々しい少女と大人っぽさの間を漂った。勘違いによる怒りと反撃が物語の肝。トップ娘役歴4年半。これまでは悲劇が多かったが、明るい作品で、安定感とともに新鮮さも感じさせた。

 ジェリーの友人で公演プロデューサーのホレス役は水美舞斗(みなみ・まいと)。柚香と同期で、息もぴったり。ホレスの付き人・ベイツ役は専科・輝月(きづき)ゆうま。柚香、水美と第95期生の同期で、3人の並びはほほえましく映った。柚香は「14年目の95期」を「研94」と言い間違えて爆笑。柚香が杖をついてヨロヨロするポーズを見せて『研94の…』とギャグを見せる場面もあった。柚香は輝月について「音楽学校の時には(水美と)私たちにとってお姉さん。『まゆぽん』という愛称ですが、私と水美は『いわ姉(ねえ)』と呼んでいるんです」と仲の良さを醸しだした。

 ファッションモデルのデイルを担当する陽気なイタリア人のデザイナー・アルベルトは帆純(ほずみ)まひろ。イタリア語っぽい巻き舌な上、セリフ量も膨大。これまでの花組を見ていれば、芸達者な飛龍つかさが相応しいのではと思う役柄だが、帆純が10年目で脱皮のチャンスをものにした。

 宙組公演時は同じく10年目突入時の元星組2番手スター・愛月ひかる(昨年12月退団)が務めた役。愛月は当時を「一番最初に来たターニングポイント。三枚目を初めてやって、お芝居の感覚がさらに開けた。男役をやりたい人って、みんな王子様を目指して入ってくるわけじゃないですか。でも、役者として作品に一番必要である存在になりたいなと変化したい気持ちになったのは、その時から」と回顧していた。押し出しの弱さがあった帆純にとっても転機になるべき作品だ。(筒井 政也)

芸能

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×