歌舞伎俳優の松本白鸚が2日、東京・歌舞伎座で開幕した「四月大歌舞伎」の「荒川の佐吉」(第2部)で5か月ぶりに歌舞伎の舞台に復帰した。
長男の松本幸四郎が主人公・佐吉役で、白鸚は実在した大物俠客、相模屋政五郎を演じている。かごの中から姿を見せると客席からは、大きな拍手が起きた。この役は今回2度目だが、演じるにあたって本などで改めて人物を調べ直したそう。
「『鈴ケ森』の幡随院長兵衛のようだと思った。本当の意味での大人物。芸だけでなく、柄で見せる役」。難しさを再確認しつつも、「熊谷陣屋」の熊谷直実、「仮名手本忠臣蔵」の大星由良之助など大役を当たり役としているだけに“相政”を風格ある芝居で見せた。桜の舞い散る中、佐吉との別れのラストでは涙を誘った。
白鸚は2月、関係者に新型コロナウイルス陽性者が出て公演が途中で中止になったが、主演ミュージカル「ラ・マンチャの男」のため、昨年12月から歌舞伎の舞台に出ていなかった。