成人となる年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が1日、施行された。明治以来140年以上続いた大人の定義の大転換。親の同意なくクレジットカードや携帯電話、ローンといった契約を結べるようになるが、懸念されるのは、親の同意なく結んだ契約を後から取り消せる「未成年者取り消し権」の対象から外れること。元検事のレイ法律事務所・西山晴基弁護士(30)は、「例えば、家出をした高校生の生活が成り立ってしまう。保護がなくなったばかりの成年を狙い撃ちにする業者も出てくる恐れがある」と警鐘を鳴らした。
今回の引き下げでは少子高齢化が進む中、若者が早くから経済活動に参加することで社会の活性化につながると期待される。社会経験の乏しい18、19歳の自立を支援するための環境整備が課題となる。
悪質な業者のターゲットになる可能性があり、消費者庁は啓発に力を入れる。金融庁は全国の貸金業者から18、19歳への貸し付け状況の報告を受けるなど監視を強める。政府は31日、若者を狙ったアダルトビデオ(AV)への出演強要問題について、啓発強化を柱とする緊急対策を取りまとめた。
18、19歳は活動の幅も広がる。公認会計士や司法書士、行政書士などの国家資格が持てるようになり、裁判員にも選ばれる。有効期間10年のパスポートを取得できる。
酒やたばこ、競輪や競馬といった公営ギャンブルは健康や依存症への影響を考慮し、20歳以上を維持する。女性が結婚できる年齢を16歳から18歳に引き上げて男女差を解消。男女ともに18歳から親の同意なく結婚できるようになる。
起訴後に18、19歳の実名報道が可能となる改正少年法も施行された。