スピーチライター蔭山洋介氏が解説…ゼレンスキー大統領の演説は東日本大震災を基盤に共感を求めたか

スポーツ報知
スピーチライター・蔭山洋介氏

 ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、国会内でオンラインを通じて演説した。国会で海外の要人がオンライン演説するのは初めて。岸田文雄首相や衆参両院の議長をはじめとする国会議員ら約630人に対しウクライナ語で思いを伝え、同時通訳された。日本の援助に対して感謝の言葉を口にすると同時に、侵攻するロシアの攻撃により、国内の原発が危険な状況にあることなどを訴えた。

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 チェルノブイリなど原発に触れ、「侵攻の津波」と表現したのは全体の構成として3・11(東日本大震災)を基盤に日本人の共感を勝ち取ろうとしていると理解できる。「津波」という表現と対になる「各企業が撤退しなければならない」という点が最も強力なお願いだったと思う。また、「サリン」という言葉を出したのは(オウム真理教の)地下鉄サリン事件を踏まえてのことだろう。

 一方、他国の演説に比べ具体的な言葉があまり見られず、日本での演説は少しリサーチ不足も感じた。演説は「感情的な一体化」を狙うべきだが、今回は感情に訴える今までの演説よりも抑制的。今まで協力を引き出すために感情に訴えかけることが機能すると判断していたが、その方法では効果が薄いと思った可能性もあるし、単に時間がなかった可能性もある。

 具体的な言葉が出てこなかった理由として、北方領土に関しては日本の地域紛争にライターチームが追いついていない可能性がある。原爆については触れず、3・11でいこうという判断があったと思う。そこには米国への配慮があると感じる。

 だが、時間のない中、これだけの原稿を日々書いていることを考えると、ライターチームが優れていることは間違いない。(スピーチライター・蔭山洋介氏)

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