山口監督&脚本・佐藤氏が語る“映画ドラえもん”の魅力「かっこよくない主人公だからこそ」

「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021」を手掛けた山口晋監督(左)と脚本の佐藤大氏
「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021」を手掛けた山口晋監督(左)と脚本の佐藤大氏

 今月4日に公開されたアニメ映画「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021」が、「全国映画動員ランキング」(興行通信社調べ)で2週連続首位を獲得しするなど、大ヒットスタートを記録している。監督を務めた山口晋氏、脚本を手掛けた佐藤大氏がこのほど、スポーツ報知の取材に応じ、本作に込めた思いを明かした。

 1985年公開「のび太の宇宙小戦争」のリメイク版。コロナ禍での1年延期を経ての封切りとなり、のび太たちが、独裁者に支配されたピリカ星の大統領・パピと反乱軍に立ち向かう冒険劇を描く。

 劇場版第一作「のび太の恐竜」から41作目の本作。これまでテレビアニメ「ドラえもん」の絵コンテ・演出などを務めた山口氏は、映画シリーズのメガホンをとることが「一つの夢だった」といい、「ここまでの国民的アニメとなると、既に皆さんが知っていることに甘えがち。ですが、初めてドラえもんを見る人や、他の国の子どもにたちもいかに見てもらい、楽しんでもらうかという意識を常に持って製作しました」。

 85年版をただリメイクしたのではない。脚本を担当した佐藤氏は「藤子・F・不二雄先生の思いをくみ取りながら、監督やスタッフ陣と『今届けるには、どこを掘り下げるべきか』と格闘しました」と語る。

 本作では、少年ながら大統領に選ばれたパピの姉・ピイナがオリジナルキャラクターとして登場する。その狙いを、山口監督は「パピ君は、(85年版では)家族構成が一切見えなくて、なのに健気に大統領をやっている。(観客にとって)オリジナルキャラは抵抗があるのも承知の上で、精神的な後ろ盾が一人は必要だと思いました」と明かす。

 パピやのび太たちが絆を深めていく過程、葛藤する等身大の姿がより深く描かれることにより、各キャラクターに感情移入しやすいのも本作の魅力だ。

 佐藤氏が「僕は、劇中のパピ君の『私が一度でも噓をついたことがあるか』っていう言葉がすごく心に響いたし、大事にしたところ」と力を込めると、山口監督も深くうなずきながら「昨今、政治家や大人たちが、小学生が見ても分かるような噓を平気でついている。それに対して『この現象は何なんだろう』とみんな思っていて、そこに(本作の)小学生の大統領ってすごいアンチで面白いですよね」。

 今年は、本作のほかにも「呪術廻戦」や「ONE PIECE」などアニメ作品の劇場版が目白押し。その中で、山口監督、佐藤氏が異口同音に語る劇場版ドラえもんの魅力は「主人公がかっこよくないこと」だ。

 山口監督は「のび太はかっこ悪くて頭もよくないし、運動神経もだめ。多分、のび太になりたいっていう子はほとんどいないでしょう。でも、そこが重要なポイント。かっこいい主人公に感情移入して、ちょっと自分が強くなったような気分になる作品がヒットする中で、『のび太頑張れ』って脇に寄り添って応援するような気持ちや、そんな映画が残って欲しいなと思います」

 “葛藤を抱える少年大統領・パピ”と“失敗ばかりの主人公・のび太”が紡ぐ物語だからこそ、子どもたちに響くものがある。

 山口監督は「やることがほとんど失敗に終わってしまうのび太が、なぜ仲間たちのリーダーたり得るのかというところを、映画を通して子どもたちが考えてくれたらうれしい」と願う。

 佐藤氏も「今の社会は、巧妙に噓をついて器用に生きることが何となく賞賛されている気がしています。分かりやすく不器用なのび太君、分かりづらいけど不器用なパピ君、彼らの行動から感じてもらえることがあればうれしいかな」。37年の時を超えリメイクされた本作には、子どもだけでなく、大人や国を超えて今、届けたいメッセージが込められている。(奥津 友希乃)

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