【番記者の視点】横浜FM、見せつけた1点への執念 「ラッキーな勝ち点1」の捉え方とは

◆明治安田生命J1リーグ ▽第4節 札幌 1―1 横浜FM(12日、札幌ド)

 横浜FMは敵地で札幌と1―1で引き分けた。後半アディショナルタイム5分、DF実藤友紀がオーバーヘッドで同点ゴールを挙げた。

 今季初の無得点試合と思われたが、最後の最後にフィールドプレーヤー最年長、33歳の実藤が仕留めた。スルッと混戦に走り込んだCBが、昨季広島戦で挙げた決勝点をほうふつとさせる華麗な同点弾。「どんな形でも足に当たれば」とFW経験で養った感覚でぶち込んだ。

 1点を追い、後半39分にも1対1のピンチを救ったGK高丘は3分残した場面のCKでゴール前へ。スローインも投げ、フィールド選手の意識を発した。DF小池龍のクロス、FWロペスの力強いヘディング…。全員の執念が実った1点。今季出場2試合目の実藤は「勝ち点を持って帰る姿勢を見せられた」。激しい定位置争い、総力戦で好循環を生むチームにも新たな火をつける一撃となった。

 敗戦寸前だった。前半はスペースをうまく使い、セカンドボール回収、テンポのいいつなぎで優位に進めた。ただ、相手GKのセーブも光り、押し込む時間帯に奪い切れず。危険ゾーンと化したFWエウベルの対策など配置を変えた札幌が徐々にリズムを作るうち、こぼれ球を拾われて失点した。

 昨季の2勝はどちらも逆転勝利で、5得点はすべて後半35分以降。交代選手も含め、タフな試合展開で疲弊する相手のスキを突こうと、よりアグレッシブに仕掛けた。しかし土壇場のゴールシーンまで、札幌が一枚上をいくしたたかさを示した。

 追いつき、敵地で勝ち点1をつかんだ。劇的な幕切れに沸いた。ポジティブな勝ち点1である。一方、この日もたくましく中盤を支えたDF岩田智輝の表情は険しく映った。「負け試合に等しかった。ラッキーな勝ち点1」。加入2年目、勝利への執着心を植え付けた24歳は、94分間に反省を示し「決めるところを決めきる、守備ではボールを奪いきる、奪われ方が大事」と語気を強めた。

 昨シーズンも内容で圧倒しつつ、攻めあぐねて勝ち点を取りこぼす試合は少なくなかった。岩田の座右の銘は「勝負の神様は細部に宿る」。ボール1個分を突き詰める、一つの球際にこだわるといった重要性を、改めて自分自身に言い聞かせているようにも感じた。よりチームが高いところにたどり着くため。前向きな引き分けの中にも、いい意味で貪欲さが先行していた。

 諦めずにもぎ取った勝ち点1をどう次の勝利に、その先につなげるか。向上心が燃えている限り、チームはもっと強くなれるはずだ。(小口 瑞乃)

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