【番記者の視点】今季初の連勝を飾った鹿島 選手たちはなぜ、新米コーチについていくのか 背景を読み解く

スポーツ報知
鹿島・岩政大樹コーチ

◆明治安田生命J1リーグ ▽第4節 神戸0―2鹿島(11日・ノエビアスタジアム神戸)

 岩政大樹コーチはリーグ戦で3勝1敗の成績で代行監督の務めを終えた。次節の湘南戦からはコロナ禍の入国制限で来日が遅れていたレネ・バイラー監督が指揮を執る予定。2連勝を飾った神戸戦後、同コーチは「選手たちが新しいサッカーに前向きに、楽しんでくれて、僕の言葉をしっかり消化してくれて、自分たちが新しいサッカーを自分たちで作るんだと。一体感を作ってくれた」と選手たちに感謝の言葉を並べた。

 歴史を作ったOBとはいえ、なぜプロの指導経験がなく、実績もない新米コーチに、選手たちはついていくのか。それは岩政コーチは勝利に向かう「策」や「術(すべ)」を提示したからだと感じる。指揮を執った公式戦5試合(ルヴァン杯1試合を含む)では4バックでも複数の形、配置を使い分け、相手の状況を見て3バックに変更することもあった。それぞれに準備があり、明確な意図が添えられた。

 鹿島の選手は「策」を欲していた。昨年のホーム最終節、選手を代表してあいさつに立った三竿健斗は、涙ながらに際どい提言を行った。

 「球際(で戦う)や(攻守の)切り替え、(指示の)声を出すなど、サッカーの初歩的なことだけを追求しても、タイトルを取り続けられるチームには僕はなれないと思います。僕らを見たときに相手が恐れるような、ゲームを支配できるような、そういうサッカーをするようなチームにならないと、これから先、また同じ悔しい気持ちをするだけだと思っています」

 批判とも受け取れる内容については、クラブ内で十分に議論されたので、ここで是非を問うつもりはない。加入する選手のほとんどは「勝ち方」を知りたいと思って、鹿島にやってくる。練習の空気感、ジーコスピリットの存在。長く強い理由はそこかしこにあり、すぐに理解できるだろう。選手たちは今、目の前の試合で勝つ「策」、この1年を勝ち切る「術」を欲していた。ある選手は、三竿の発言は選手全員の総意だったと明かした。

 2連勝を飾った神戸戦後。FW鈴木優磨は「自分のサッカー人生において、ここまで具体的に言語化できる人は初めて。刺激になったし、新鮮で新しい、楽しい時間だった」と岩政コーチを評した。MF三竿健斗は「連勝を重ねられるように、一戦一戦、鹿島らしく戦っていきたい」と言った。岩政コーチが授けた「策」は欲を満たし、鹿島新時代を築くという覚悟にも火をつけた。(内田 知宏)

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