第94回センバツ高校野球大会(18日開幕、甲子園)に出場する花巻東の佐々木麟太郎内野手(新2年)が、昨年12月の両肩手術から実戦復帰していたことが12日、分かった。この日、代表取材に応じ5日以降、チームが関西遠征で行った練習試合4戦で2本塁打していたことを明かした。高校通算本塁打を52に伸ばした注目スラッガーは、聖地デビューへ調子を上げていく。
3か月のリハビリを強いられた麟太郎が、センバツに間に合った。5日に練習試合が解禁されてから、関西で組まれていた4試合で本塁打を2発。昨年11月28日に行われた東海大相模(神奈川)との練習試合以来のアーチを重ね、高校通算本塁打を「52本」まで伸ばしていた。代表取材に応じた大砲は「ホームランはとにかく強い打球を打つと意識した結果。まだ状態は良くないので、少しでも状態を戻して守備でも打撃でもしっかりチームに貢献できるよう精いっぱい頑張りたい」と意気込んだ。
本番に強い男だ。昨秋の東北大会から明治神宮大会までチームの練習試合12試合の中で本塁打は0本。だが大会に入ると2発のアーチをかけ、花巻東を初のベスト4へ導いた。昨年12月に胸郭出口症候群を患っていた両肩を手術し、復帰まで約3か月と診断されていたためセンバツに間に合うか不透明だったが、本番を前にチームの希望につながる回復を見せている。「小さい頃から聖地だと思っている球場でプレーできるのが楽しみ」と麟太郎は甲子園デビューへ胸を躍らせた。
麟太郎の復帰はこれ以上ない朗報だ。強豪ひしめくブロックに入り、22日の初戦は最速149キロ右腕・米田天翼投手(新3年)を擁する市和歌山(和歌山)。その他、大島(鹿児島)や明秀学園日立(茨城)、明治神宮大会王者の大阪桐蔭(大阪)もいる。雪深い岩手では2月までノックができず、佐々木洋監督(46)は「失点はあると思うのでなんとか打線でカバーできればいい」と打ち勝つことを期待。すでに米田の映像を見て分析している麟太郎は「スピードと重さがある。うまく対応しないといけない」。調整と研究を重ね、まずは米田攻略を目指す。(小山内 彩希)
◆強豪そろうブロック 全32校のトーナメント表を8校ずつ4つのブロックに分けて見た場合、花巻東は強豪ぞろいの厳しいゾーンに入ったと言える。初戦で市和歌山・米田を倒したとしても、2回戦の相手は大野の大島か、関東覇者で投打のバランスに秀でた明秀学園日立。準々決勝に進んでも、明治神宮大会を制した王者・大阪桐蔭、秋季大会の防御率が0・86の好左腕・冨田を擁する鳴門、粘りが身上の古豪・広島商などから勝ち上がったチームとの対戦になる。