3連勝で開幕ダッシュに成功のJ2横浜FC 中村俊輔は冷静に未来を見つめていた

スポーツ報知
横浜FC・中村俊輔

 J2横浜FCの取材が4日、今季初めて横浜市内でのLEOCトレーニングセンターでメディアに公開された。当時は開幕2連勝中。好スタートにチーム内には明るい空気が流れていたが、元日本代表MF中村俊輔選手は冷静に見えた。かくいう私は今季は横浜FC担当として、磐田時代以来の俊輔番となった。達観して未来を見据える思考回路は以前と変わらなかった。

 中村俊選手に会うのは1月23日の和歌山1次キャンプ最終日以来約1か月半ぶりだった。私が話しかけると「元気?」と聞かれ、「俊さんは?」と聞き返すと「まあまあ、生きてる。ギリ生きてる」と冗談めかしながら、話が始まった。こんなにじっくり話を聞けるのは磐田時代の2019年以来だった。

 先週の話になる。開幕3連勝をかけた大分戦(6日、2〇1)前だ。「勝ち点も大事だけど、今日みたいに練習を100パーセントでやることが大事な時期」と言い、開幕2戦についても「ギリギリで勝っている」と分析した。開幕してから数試合については「この時期は難しい。合宿でやっていることができている選手が出場していることが多い。でもお披露目会じゃないから。今は逆算しないといけない」という。

 もちろん勝つことが大前提としながらも、大宮戦で見えた細かな課題を指摘していた。そして「やっぱり今はミーティングなどで話すことが大切。最初はうまくいかないことだらけだから。相手だってスタートダッシュしたいから死にものぐるい。うまくいかないときにこそ話す」と明かした。

 チームは3季ぶりのJ2で1シーズンでのJ1復帰を目指している。J1とJ2の違いやサッカーのトレンドなどについて具体例を交えながら教えてくれた。「話を普段からすることが大切。チームが良くなるためにね」と話した。

 私もサッカーのトレンドの変化には敏感でいたいなと多方面にアンテナを張っているが、日本屈指の戦術眼を持つとされる中村俊選手の言葉を聞くと思わず「確かに」とつぶやいた。こういう積み重ねを日常からすることで、チーム内に以心伝心、あうんの呼吸が生まれるはず。そして勝負の後半戦に違いとなって表れるのだろう。

 ここまで出場は開幕の大宮戦の途中出場の1試合のみ。結果として前節・大分戦も出場しなかった。それでも「メンバーに入れない、サブにも入れない人が紅白戦で一生懸命やることでチームで勝つ。与えられたところでやるしかない。サブならサブでやらないと生きていけないから」。不満を口にすることは一切なく、シーズン全体を考えながら1日1日を過ごしているようだった。

 三浦知良選手(55)が移籍し、6月に44歳となる中村俊選手がチーム最年長。磐田時代も同じ立ち位置で若手に様々な刺激を与え、慕う選手が日に日に増えていった。そして横浜Mから加入した2017年にはJ1で6位に躍進。老かいなプレーだけでなく精神的支柱としての立ち振る舞いが、若手の多いクラブを大きく成長させてくれるはずだ。(横浜FC担当・山田 豊)

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