新しい復興のシンボル「楽天イーグルス 奇跡の一本松球場」、6月イースタン・リーグ公式戦開催・・・東日本大震災から11年 未来へ

イースタン・リーグ公式戦が開催される高田松原運動公園第一野球場(カメラ・山崎 賢人)
イースタン・リーグ公式戦が開催される高田松原運動公園第一野球場(カメラ・山崎 賢人)
空に虹がかかった奇跡の一本松(3日撮影)
空に虹がかかった奇跡の一本松(3日撮影)
高田松原運動公園第一野球場の正面
高田松原運動公園第一野球場の正面

 東日本大震災から11年。多くの困難に直面しながら、東北の人たちはどんな希望を胸に進んできたか。スポーツ報知では9日から3回に分け、それぞれの立場で生き抜いてきた人たちの未来への思いを紹介する。第1回は岩手県陸前高田市にある高田松原運動公園第一野球場の建設に携わった阿部勝さん(61)。震災、新型コロナウイルスと2度の中止を経て今年6月にイースタン・リーグ公式戦(楽天対巨人)が開催予定となり、新設した球場への思いを明かす。

 高田松原運動公園第一野球場は「奇跡の一本松」から約1キロ離れた場所にある。20年8月8日に完成した。協定を結んでいた楽天とともに市民から愛称を募集し、多くの支持を得た「奇跡の一本松」を入れ「楽天イーグルス 奇跡の一本松球場」と命名。今年6月4日に初のイースタン・リーグ公式戦を迎える。

 11年8月に陸前高田市では初めての2軍戦を開催する予定だった。高田松原に隣接していた元の球場は同年3月15日に大規模な改修工事を終え、こけら落としや市民が利用する予定だった。しかし、その4日前に地震が発生し、津波によって球場は流された。市街地も大きな被害を受けた。

 元の場所には建設することはできなくなった。別の場所での建設を余儀なくされた。再建した場所は大勢の市民が住んでいた住宅街。当時、同市の建設部長兼都市計画課長として携わった阿部さんは「浸水はしていたが元は個人所有の土地。丁寧に説明してご理解いただき、譲っていただいた」と言う。

 様々な困難を乗り越え新設した球場は新たにスピードガンがついている電光掲示板や、元の球場よりも広く民間企業の支援もありプロ仕様となった。なんとか復旧したいという思いで活動した阿部さんは「知り合いでも野球関係者がいてその友達も亡くなったり、見つからない人もいる。そういう人たちのことも思い浮かべ、市民に愛される良い球場にしたい」と取り組んできた。

 完成後も新型コロナウイルスの流行により2軍戦が中止になったがそれでも前を向いた。新しい復興のシンボルとなった球場では市民や子どもたちがすでに利用し、笑顔を取り戻している。そうした中で22年1月に2軍戦の開催が決定。復興を後押しするプロ野球に「プロのプレーを見ることによって市民も明るく、前に向いて進んでいけるようなきっかけになれば」と明るい口調で阿部さんは思いを語った。

 10月には三陸花火競技大会など野球以外でも使用される。球場以外にも子どもたちが遊べる広場など、市民が日常的に使える愛される公園として未来へ進んでいく。(山崎 賢人)

 ◆高田松原運動公園第一野球場 愛称は「楽天イーグルス 奇跡の一本松球場」。最大収容人数4500人(内野1847席。外野2641席、車いす12席)。両翼99メートル、中堅122メートル。

 〇・・・楽天は震災前から東北との地域密着を重要視し、様々な活動で貢献してきた。今季は15年以来7年ぶりに東北6県すべてでイースタン・リーグの公式戦を開催する。

 陸前高田市とは17年3月にパートナー協定を結んだ。愛称を付けた「楽天イーグルス 奇跡の一本松球場」のすぐ横にも、市民や子どもたちが遊べる「こどもスタジアム」を寄贈。当時、地域連携部の責任者だった楽天の松野秀三さん(44)=現マーケティング本部野球振興部部長=は「リニューアルした球場を大いに活用し、精いっぱい体を動かしてほしい」と笑顔で語った。

 11年の思いを経て開催される公式戦。復興支援の一つの要素として開催される試合に「やっと実施がかなう。この先10年以降も復興支援を進めていくことが大事。パートナーとして一緒にやっていきたい」と力強く語った。

イースタン・リーグ公式戦が開催される高田松原運動公園第一野球場(カメラ・山崎 賢人)
空に虹がかかった奇跡の一本松(3日撮影)
高田松原運動公園第一野球場の正面
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