【番記者の視点】マスカット監督大胆采配の横浜FM、出場機会に飢えた選手の奮闘を支えた力は…

FW宮市亮
FW宮市亮
ケヴィン マスカット監督
ケヴィン マスカット監督

◆明治安田生命J1リーグ▽第10節 横浜FM2―0神戸(2日、日産ス)

 横浜FMは本拠で神戸に2―0で勝利した。FW西村拓真が前半38分に左CKから頭で、試合終了間際には相手DFをかわして右足で突き刺した。退場者2人、負傷者を出すなど苦しんだ柏戦(1●3)から中2日。主力の多くを欠いたが、連敗を免れ大きな勝ち点3をつかんだ。

 出場機会に飢える選手が伸び伸びと躍動した。西村が仙台から移籍後初ゴールを含め圧巻の2発。「求められるのは得点」と語っていた25歳は「やっとファミリーの一員になれた」。新加入6人が先発入りしたが、周囲の驚きや前節のショックを一掃し、流れを引き戻す白星を奪った。FW宮市亮もスピードを生かして積極的に仕掛け、「誰が出てもマリノスは強いんだと結果で見せられた」。突如のチャンスに力を発揮できるのは、毎日メンバー内外で「レベルの高い」トレーニングをこなし、チーム力を高めてきた証しだろう。

 新加入組の活躍は光ったが、マスカット監督も「うまくパフォーマンスできるようにしてくれた」と話した通り、成り立ったのは既存選手が力強くチームを支えたからでもある。コンディション不良でメンバー外となったキャプテンのMF喜田拓也に代わり腕章を巻いたDF松原健は「(困難を迎えた)今こそ力を発揮する時」と魂込めた声やプレーで先頭に立つ気概を示し続けた。GK高丘陽平のDF陣へのサポートや幾度とない被決定機阻止はMVP級。後半は守勢に回る時間も長かったが、全員で踏ん張り、粘り強くかき出し、今季初の完封勝利を飾った。

 スタッフ陣の落とし込みも力を最大限引き出した。攻撃の司令塔MFマルコスジュニオール不在の中、西村が「初めて」のトップ下に挑戦。ロペスと絶妙な縦関係を築き、サイドにも流れて攻守に走る…。「アナリストの方も含めてすごく具体的なやり方を教えてくれたので、合わせていけば良かった」とイメージを組み立ててピッチへ。初めてとは思えないレベルで得点以外の要素でも役割を果たした。走行距離は13・561キロと脅威。試合終了間際のゴールを決めた直後は倒れ込んでしまうほど、死力を尽くした。

 高卒1年目のMF山根陸をこの局面でプロデビューさせるなど、指揮官の大胆な采配には驚きを隠せない。神戸がMFイニエスタとサンペールを投入すれば、中盤の強度を保つ意味でもサイドバックの小池龍太をボランチで投入した。「ポジションは関係ない」という攻撃サッカーで、サイドに偏らない360度の視点を普段から養っているからこそ。ハードワークに徹し、内側やゴール前に入る動きを得意とする小池の特徴を見極め、信じて起用に踏み切った。「チーム全体でこれだけできる、自分たちを信じる強さが反映された試合」(マスカット監督)とその時考えられる最善のメンバーを送り込んだ。

 「負けた時こそ、何かを失った時こそ本当の意味で真価が問われる」(喜田)。挑戦的な姿勢を忘れず、総力戦で、正念場を一つ越えた。新加入選手の融合も進み、ポジション争いにはますます火がついた。「誰が出てもマリノスは強い」。その言葉を証明し続けるためにも、勝ち点3とともに得た収穫を長いシーズンにつなげたい。(小口 瑞乃)

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