静岡県出身の高校生ナンバー1ランナー・米沢奈々香インタビュー

スポーツ報知
同郷で1学年下の杉森(左)とピースサインで笑顔をみせる仙台育英・米沢(カメラ・有吉広紀)※(撮影時のみマスクを外しています)

 静岡で生まれ育ち、宮城で力をつけたランナーが、再び大きく羽ばたく。北浜中出身の米沢奈々香は、仙台育英(宮城)で1、3年時に全国高校駅伝優勝、2020年日本選手権1500メートル2位など、世代トップクラスへ成長を遂げた。4月から強豪・名城大(愛知)に進学する。28日に卒業式を迎えた18歳が、高校3年間の思い出や将来について語った。(取材・構成=有吉広紀)

 あれから3年がたち、卒業の時を迎えた。地元・浜松市から陸上部寮のある宮城・多賀城市に初めて来た時のことを、米沢はこう覚えているという。

 米沢(以下米)「景色とかは、宮城に来たという感じが意外となかったです。浜松でも(実家は)住宅街というかこんな感じで、同じような気がしました。何が違ったかというと、やっぱり寒さ。静岡より寒いな、と(笑い)。でも一番変わったのは、親がいない環境というところですね」

 親元を離れ、宮城での生活を選んだ高校3年間。なぜ約500キロも離れた仙台育英を選んだのか。そこには揺るぎない思いがあった。

 米「強くなりたいという意志があって、強豪校に入って頑張りたいという思いがありました。見学に行かせていただいて、監督の指導方針や練習環境が素晴らしいなと感じたのが決め手です。(環境とは?)走る環境がたくさんあるというか、いろんな場所に練習に行けることがいいと思いました」

 釜石慶太監督の指導はそれまでと異なる点が多く、新鮮だった。新たな発見が多いなか、静岡で鍛えた土台も生きた。

 米「中学までは先生から出していただいたメニューをこなすことをやってきたけど、育英では自分の状態を確認する各自ジョグが増えました。自分のコンディションを確認しながら練習メニューを相談させていただいたりして、今までより自分と向き合うことができて、自分の体の意見だったりを把握できるようになりました。きつい練習もありましたけど、小学校・中学校とそういう練習を乗り越えてきたから、高校でも頑張れた。指導してくれた監督方には感謝の気持ちです」

 母親とは毎日連絡を取り、常に身近に感じる存在だ。それでも離れたからこそ感じたことがあった。

 米「(実家から)たまに荷物を送ってもらうときにお手紙が入っていて『頑張れ、応援してるよ』という言葉が書いてあって。手紙のほうが気持ちが伝わってくるのはありますね。あと親がいることで安心を得られていたと思うので、親の偉大さに気づかされました」

 静岡へ帰る時や寮に戻る時のお土産も、互いの土地の銘菓にしていたという。

 米「(帰郷時は)萩の月を買っていくことが多かったです。静岡からはうなぎパイとか、こっことか。定番のお土産を買っていって喜んでもらえました」

 高校3年間は寮生活。仲間たちと多くの時間をともに過ごした。また米沢の後を追って同郷の杉森心音(2年)も育英に入学し、再びチームメートとなった。

 米「学校も、帰る場所も一緒なので、ずっと一緒にいる感覚でした。家族みたいな存在で何でも相談し合えるような関係で、一生の仲間に出会えた感じがしています。心音ちゃんは中学からすごく仲が良くて、学年関係なく友達のよう。また一緒に頑張ろうという気持ちになったし、彼女の存在は大きかったです」

 3年時は主将を務め、文字通りチームを引っ張る立場になった。昨年12月の全国高校駅伝では1区区間賞。2年ぶりの優勝に導く快走をみせた。

 米「自分たち最上学年が引っ張りながらチームをつくって、3年間で一番思いが強い一年でした。(都大路では)1年生で優勝して喜びを感じて、2年生では連覇を望んだけどできなくて悔しさを味わって、優勝への気持ちがどんどん強くなっていった。目標を達成できてうれしかったです」

 4月からは全日本大学女子駅伝5連覇中の強豪・名城大に進学する。

 米「合宿に参加したとき、先輩方がびっくりするくらい優しくてチーム仲もすごく良くて。ここなら頑張れそうと感じられました。一年一年、大事な大会に合わせていくスタイルを軸に、先輩方の吸収できる部分を学ばせていただいて、さらにレベルアップできたら、と思っています」

 〇…コロナ禍で卒業式は教室で行う形となったが、その後寮でお別れ会が開かれた。卒業式前の取材では「泣きたくないな、という気持ちはあるけど、みんなにつられて泣いちゃいそうな予感もします」と話していた米沢だが、仲間たちと笑顔で記念撮影。「後輩たちにもすごく恵まれて、本当に充実した3年間だったなと思います」と改めて振り返っていた。

 ◆米沢奈々香(よねざわ・ななか)2004年2月24日、浜松市生まれ。18歳。北浜中で陸上を始め、3年時に全国中学大会1500メートル優勝。仙台育英では全国高校駅伝で、優勝した1年時は2区6位、3位の2年時は5区3位、優勝した3年時は1区区間賞。全国高校総体は3年時に1500メートル2位、3000メートル3位とともに日本人トップ。20年日本選手権で1500メートル2位。身長160センチ。

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