【森永卓郎の本音】長引く自粛が鉄道を壊す

スポーツ報知
森永卓郎

 3月から鉄道各社が恒例のダイヤ改正を行う。今回の各社に共通するテーマは、減便だ。3密を避けるために通勤ラッシュ時の減便は避けるが、日中の減便を行う鉄道会社が多い。だが、JR東日本や西武、東武など、通勤ラッシュ時も含めた減便に踏み切る会社もある。「生活様式の変化を踏まえ、利用状況に応じたダイヤに変更する」というのが、会社側が掲げる減便の理由だ。確かに乗客は3割程度減っている。しかし、減便の本当の理由は、長引くコロナの自粛政策で、鉄道各社の経営がとてつもなく厳しくなっているからだろう。

 鉄道会社のコストは、大部分が固定費だから、数本の減便をしたところで、焼け石に水なのだが、そんなことを言っていられないほど経営が厳しいのだ。例えば、JR東日本は、10年計画で駅の時計500台を撤去する。3億円程度のコスト削減になるという。

 減便にしても、時計の撤去にしても、我々の暮らしが不便になることは間違いない。さらに、長引く自粛の影響はそれだけにとどまらない。西武ホールディングスは、2月10日に、子会社のプリンスホテルが保有する76のホテルやレジャー関連施設のうち31施設をシンガポールの政府系投資ファンド、GICに売却すると発表した。これに先立って、近鉄グループホールディングスも、2020年にアメリカの投資ファンドへ8つのホテルを売却している。

 政府は、自粛政策で大きな被害を受けた鉄道事業者に対して、ほとんど補償をしなかった。それが我々の暮らしが不便になり、国民の貴重な資産が外資に食われる結果に結び付いている。正確なダイヤで運行する鉄道事業は日本が世界に誇れるシステムだ。それを壊した責任を政府はどう感じているのだろうか。(経済アナリスト)

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