【阪神】キャンプMVPは糸井嘉男!? “神の声”も拒否する40歳の超人の動きに誰もがビックリ

スポーツ報知
野手陣を引き連れ、アメリカンノックに向かう糸井嘉男(中央)

 まもなく打ち上げを迎える阪神の沖縄・宜野座キャンプ。1か月を通じて、チーム最年長の40歳が常に目に留まった。糸井嘉男外野手。定番の「MVP」に矢野監督が誰を指名するのか気になるが、投票が許されるのなら、背番号7に1票を投じたい。

 第1クールから若手と一緒にフルメニュー。序盤のベースランニングから激走していた。本塁突入は「背中から行きまーす」とジョークで盛り上げ、豪快なスライディング。長距離を走って打球を捕るアメリカンノックにも参加し、ロボットのような走り方で後輩の笑いを誘いながらノルマをこなしていた。結果も素晴らしい。紅白戦を含め出場した全5試合で快音を響かせ、12打数5安打。阪神移籍後の実戦は昨年の2月21日が最速だったが、今年は5日の紅白戦から発進。「ルーキーのような気持ち」と笑顔を見せていた。

 フルメニューは「普通のこと。別に、大して動けてないですよ」。本人にとって、故障がなければ当然のことなのだろう。ただ、矢野監督は「この年齢で全部のメニューをこなすのは本当にすごい」と称賛。井上ヘッドコーチも「大したもん。歳を感じさせない」と見つめていた。

 糸井は言う。「一人でやっていたら、40歳を過ぎると『妥協しなさい』って神様の言葉が頭の中でよぎる。あえて、みんなの中に入ってやった方がいいんです」。自身にハッパをかけているようだが、参加するだけでなく中身も濃い。ある日のフリー打撃では柵越え7連発。他にそんな打者はいない。新任の藤井康1、2軍巡回打撃コーチも「彼の能力はすごい。ロングティーでも飛距離は一番。30発打てるんじゃないかな」と舌を巻いていた。

 自主的に一塁の守備練習にも励んでいる。出番を狙うわけではなく「足の使い方や動かし方。外野にもつながるし、勉強になる。狙いはいろいろあるんだけど」と工夫。久慈内野守備走塁コーチは「下半身の動きとかに生かしたいんだと思う。フルメニューに参加して、ちゃんとできるんだから」と感心していた。

 筒井外野守備走塁コーチとマンツーマンでスローイングの練習を行う姿もあった。「長年やって、変な癖や楽をして投げる部分もついてきていたので。指摘してもらって」。藤井コーチにも熱心に助言を仰ぎ「新しい感覚、違う発見をすることができたりすることが多くて、ありがたい。『あっ!』っていうのは藤井さんや(筒井)壮さんに言われて、ありますね」と精力的な日々を過ごしている。

 ムードメーカーとしても存在感は抜群。ベースランニングやアメリカンノックだけでなく、23日には西勇とともに胴上げの練習を発案した。未来の姿を先に祝うことで現実に引き寄せる「予祝」だが、元々は矢野監督から教わった儀式。「監督からこの4年間、僕らの知らないことをよく教わったので。そういうのも兼ねて」と感謝の気持ちも込めた粋な演出でナインを盛り上げた。

 外野は、矢野監督が中堅・近本のレギュラーを認めており、右翼・佐藤輝も濃厚。糸井は左翼をロハスや若手と争う立場だ。指揮官は当初、大ベテランが競争に加わることによるチームの活性化を「それは後のこと。嘉男は自分がレギュラーを取ることだけ考えてくれたら」と話していた。2週間後に変わった。「嘉男の雰囲気というか、ヨシオワールドがチームを伸ばしてくれて、みんなの『俺たちも頑張ろう』というムードが自然にできる。その部分にも感謝している」。他球団のスコアラーも「若手と同じメニューをしても、一番動けているくらい。本当にすごい。出てこられたら投手は嫌ですよ」とマークする超人。今後の姿も楽しみだ。(記者コラム=阪神担当・安藤 理)

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×