厳しかったバブル、優しかったボランティア…北京五輪担当・大谷記者が見た

選手団の荷物を搬送する防護服姿の空港職員
選手団の荷物を搬送する防護服姿の空港職員
北京首都国際空港に到着後、防護服姿の空港職員に案内される報道陣
北京首都国際空港に到着後、防護服姿の空港職員に案内される報道陣

 東京とは比べものにならない―。北京冬季五輪の新型コロナの感染拡大を抑える「完全バブル」について、関係者は口をそろえた。報道陣は、中国への入国前にワクチン接種を事実上義務化され、市中に出ることを許されない「クローズド・ループ(閉じた輪)」と呼ばれたバブル内で約3週間過ごした。空港や駅、バス、タクシーは全て専用。宿泊するホテルは“脱出”できないように周囲が高い壁で囲われ、警備員も24時間在駐し監視の目を光らせていた。一定期間を過ぎた後、公共交通機関で移動し、コンビニにも自由に立ち寄れた昨夏の東京五輪とは比べようもない程不自由だった。

 日々のPCR検査も厳格だった。各宿泊先で、毎日朝6時から深夜0時までの間に検査を受けなければならない。綿棒で喉奥の粘膜をこする検査方法。驚いたのはその情報管理だ。一度、時間ギリギリに検査室に駆け込んだ日があったが、「これがあなたの名前ですか?」とスマートフォンで未受検者リストを見せられた。検査前に記者IDカードを読み込み、検査薬と情報を連動させる。未受検の場合は、検査室が閉まる30分程前に同じホテルに滞在する先輩の元に「検査を受けるように伝えて下さい」と警告の連絡まで入った。1人の検査漏れも許しませんよ、という徹底統制と監視を暗に示してきた。

 真っ白な防護服に身を包んだ現地の人々の姿は、報道を通じて多く紹介されたと思う。ホテルの清掃員やルームサービスを持ってきてくれる人も、全身をすっぽり包んだ防護服姿。手袋をし、スマホもポリ袋に入れて使用していた。ただ、中の人は至って、皆、親切だった。スピードスケートの小平奈緒(相沢病院)も「ボランティアの皆さんも、防護服を着ているんですけど、すごくフレンドリーに手を振って下さったりとか、あいさつしてくれたりするので、すごく歓迎の雰囲気は感じています」と話していた。

 徹底されたバブル。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「世界中で最も安全な場所が、ここだったのではないか」と胸を張った。確かに、我々報道陣も「東京に帰る方が、感染は怖いよね」という話すらしていた。一方で英紙は、ショートトラック女子のナタリア・マリシェフスカ(ポーランド)は陽性となった時の隔離生活について「恐怖の中で過ごし、涙が枯れるまで泣いた」と語った事を報じた。厳格な分、五輪に臨むアスリートにとって更なる精神的な負担となったことは、想像に難くないだろう。

 日本でも依然猛威を振るうオミクロン株。その中でも大会組織委員会の発表によると、大会12日以降は陽性者1人、ゼロの日が続いた。東京五輪では閉幕まで、日々2~30人前後の新規陽性者が報告されていた。日本の報道関係者の中でも、北京入り前に陽性が確認されて入国できなかった事例は数例あった。だが、大会期間中に陽性となったケースは耳にしなかった。中国政府ならではの徹底した情報管理と統制で、確かに“安心安全”は保証されていた。(大谷 翔太)

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