旧共産圏選手が薬物売り込み「これを飲むと筋肉モリモリよ」…重量挙げメダリストがドーピング問題に警鐘

スポーツ報知
女子フリー、演技を終えて肩を落とすカミラ・ワリエワ

 フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(15)=ROC=にドーピング違反が発覚し、北京五輪は大きく揺れた。1984年ロサンゼルス五輪重量挙げ82・5キロ級銅メダルの砂岡(いさおか)良治氏(60)は22日、ドーピング問題に警鐘を鳴らした。

 ワリエワは、心肺機能を高める禁止薬物のトリメタジジンを使用したとされる。砂岡氏は「演技後半のジャンプなど競技力向上に効果があると思うが、それよりも体の心配をしてほしい」と強調した。長年、世界のトップリフターと競ってきたが、その後のライバルたちが悲しい結末を迎えたことを知っている。

 「あの選手は今どうしているんだろう、という話になって調べてみると、若くして、亡くなった選手がとても多いのです」。重量挙げはドーピング違反が最も発覚している競技の一つだ。筋肉増強剤の使用が大半で、旧共産圏が崩壊する1990年前後までブルガリア、ハンガリー、ソ連、東ドイツなどが使っていたとされる。後を絶たない違反者に、国際オリンピック委員会も国際重量挙げ連盟に対し、この状態が改善しなければ、五輪競技から外すことも示唆。28年ロサンゼルス大会での除外の可能性がある。

 60キロ級のジャークで180キロをマークし、世界で初めて自分の体重の3倍を差し上げ、“ポケット・ヘラクレス”と呼ばれたスレイマノグルは、ブルガリアからトルコに亡命しながら競技を続け、88年ソウル五輪から3大会連続で金メダルを獲得したが、50歳の若さで死去。ソウル五輪陸上女子100、200メートルで金メダルを獲得したジョイナーは筋肉質の体つきと驚異的な世界記録を樹立したが、38歳で急死。両者は薬物使用疑惑を持たれ続けていた。

 80年前後に砂岡氏がジュニアの国際大会で海外滞在した時、旧共産圏の選手が部屋を訪ねてきて「これを飲むと、筋肉モリモリよ」と力こぶを作り、薬物を売りにきたという。別の大会では注射器に入れるアンプルを勧められたこともあった。「日本の選手は誰も買わなかった。飲んだ後のことが怖い部分もあった」

 ネットが普及し、昔より違反薬物が入手しやすい状況なのではないかと砂岡氏は指摘する。「簡単に手に入り、それが成績を上げることにつながるかもしれない。北京五輪は競技力に目が向いたが、やはり薬が体にいいわけがない。死につながることだってある。選手本人はもちろん、コーチら周囲のスタッフは分かっているのだろうか」。砂岡氏の危惧は止まりそうになかった。(久浦 真一)

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