【斎藤佑樹コラム】心熱くなった北京五輪 平野歩夢の「かっこよさ」は次世代を突き動かす

スポーツ報知
斎藤佑樹氏

 元日本ハム投手の斎藤佑樹氏(33)が、スポーツ報知に北京五輪の観戦記を寄せた。不断の努力の結晶を大舞台で示したフィギュアスケート男子の羽生結弦(27)=ANA=、スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢(23)=TOKIOインカラミ=らチームジャパンのアスリートたちの奮闘をたたえた。

 果敢に挑戦する心。そして勇気。その素晴らしさを実感した大会でした。

 羽生結弦選手の挑戦には、心が熱くなりました。数年前のシーズンオフ、札幌の真駒内にて生で羽生選手の滑りを見たことがあります。それまでテレビで見ていた印象は「スマートで華麗だな」というものだったんですが、実際に見てみると衝撃が走りました。

 羽生選手は、他の選手とは比較にならないほど力強かった。氷上を突き進む「音」が違う。野球でいうなら、160キロを投げるパワーピッチャーみたいな感じ。真のトップアスリートだなと心底感じました。

 そんな羽生選手が今回、「努力って報われないな」と発言したことも興味深かった。独特の言い回しですが、これは誰よりも努力を重ねてきた羽生選手だからこそ、言える言葉ではないだろうかと思います。極限まで自らを研ぎ澄ませて、4回転半という誰もたどり着いたことのない境地に達した。その勇気は、どんな色のメダルでも表現できないほど輝かしいと思います。

 僕は引退してからスノーボードを始めました。現役時代はけがが怖くて、野球以外のスポーツにトライするのは難しかったんです。ご縁があって北海道のチームに入団したので、北海道に親和性のあるウィンタースポーツをやってみたかった。先日は富良野で滑りました。雪の上で立つのは本当に難しい。転んで、立ち上がって。それが新鮮で、すごく楽しいんです。

 スノボの魅力にハマった自分にとって、平野歩夢選手のパフォーマンスはまぶしく映りました。

 大技「トリプルコーク1440」を見事に決めての金メダル。異次元の高さに、美しい着地。恐怖を感じないはずがない。でも、命懸けで挑戦することをやめない。その姿勢がクールで、めちゃくちゃかっこよかった。

 スポーツにおいて、「かっこいい」って、とても大事な要素だと思うんです。僕は小学4年生の夏に横浜高・松坂大輔さんの甲子園での熱投を見て、心から「かっこいい」と思いました。投球フォームをまねて、松坂さんの使うミズノのグラブに憧れた。野球に没頭するきっかけになりました。

 今回の歩夢選手には、理屈抜きに子供たちを引き込む「かっこよさ」があったと思います。憧れって連鎖する。北京での歩夢選手を見てスノーボードを始めた子供たちが数年後、五輪の大舞台で輝き、また次の世代を突き動かす―。あの大技には、そんな起点となる力があったように思います。

 スノーボードでは表彰式も心に残りました。メダルの色に関係なく、お互いの表現をたたえ合う。そこには勝者も敗者もいない。一緒に魅力的な空間をつくり上げた「仲間」としての敬意があふれていました。そして、バックの青い空と真っ白な雪がアスリートを彩る。美しい光景でした。

 五輪は4年に1度。仮に悔いが残ったら、次は4年後まで待たなければならない。アスリートにとって4年という歳月はあまりに長く、同じようなパフォーマンスができる保証なんてどこにもない。出場する誰もが「今、この一瞬」に全てを懸けている。一生懸命だからこそ、人々に強い感動を与えるのでしょう。頑張ることの尊さを再認識させてくれた、全てのアスリートに拍手を送りたいです。

 ◆斎藤 佑樹(さいとう・ゆうき)1988年6月6日、群馬・太田市生まれ。33歳。早実3年時に春夏連続で甲子園出場。夏は決勝で駒大苫小牧との延長15回引き分け再試合を制して優勝。早大では東京六大学リーグ通算31勝15敗。リーグ史上6人目の30勝&300奪三振を達成。2010年ドラフト1位で日本ハム入団。12年に西武戦(札幌D)で開幕投手を務め、完投勝利。プロ通算89試合に登板し15勝26敗、防御率4.34。昨年12月に「株式会社斎藤佑樹」を設立した。

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