サッカーJ2が19日に開幕する。今季、東北からはベガルタ仙台、モンテディオ山形、ブラウブリッツ秋田、いわてグルージャ盛岡の4チームが参戦。スポーツ報知では4日連続で、意地とプライドを懸けた戦いを目前にした東北勢を順次掲載する。第1回はモンテディオ山形。ホーム開幕(3月20日)でぶつかる仙台とのリーグ戦の「みちのくダービー」を唯一経験しているDF山田拓巳(32)に聞いた。(取材、構成=高橋 宏磁)
2008年に入団し、モンテディオ一筋。DF山田拓は今季、自身にとって節目となる15シーズン目を迎える。2月上旬は打撲の影響などで一時、別メニューで調整もあったが、数日後には全体練習に合流。14日の千葉キャンプでも全体練習で汗を流した。
「順調にコンディションが上がってきた中で数日、思うように練習が積めない時間があった。多少、焦りはありますけど、なんとか開幕前に全体練習に復帰できている。シーズンの最初(の試合)にピッチに立ちたいという思いは強いですし、個人的にも最大限の準備をしたいと思っています。十分(開幕に)間に合うと思っています」
昨年4月にピーター・クラモフスキー監督(43)が就任。1月14日から就任後初のキャンプを実施。約1か月もの間、山形を離れて調整を続けてきた。
「ピーターが監督になってから初めてのキャンプ。きつい練習だけではなく、メリハリがあった。リフレッシュする時にはして、ケガ人もそれほど多く出ませんでした。チームとして目指す形は、選手も理解してきたと思います」
チーム全体としても個人としても順調な仕上がりの様子。18年から昨季まで計4季主将も務めてきた。指揮官も認めるリーダーシップの持ち主だけに、今季もチームを支えたいという思いに変わりない。
「18年から4年間、キャプテンをさせていただいたが、思うような結果は残せなかった。今後もチームが勝つために、やれることはやろうと思っています」
本拠での開幕戦は仙台戦となった。両チームが激突するのは、仙台が3―2で勝利した18年12月の天皇杯準決勝以来。リーグ戦では15年以来、7季ぶりとなる(当時はJ1)。リーグ戦で「みちのくダービー」を戦った経験があるのは、現チームでは山田拓しかいない。
「シーズンを通して一番楽しみな試合がやっぱりダービー。より気持ちが入るし、必ずピッチに立っていたい。個人的に楽しみにしていますし、サポーターに楽しんでもらえるようにしたい。山形で待ってくれているファン、サポーターの方に向けての1発目の試合。そこで勝てば、チームとしても乗ってくると思う。『また応援しよう』と思ってもらえるように照準を定めていきたい」
今季は仙台とだけではなく、秋田、岩手との「東北勢ダービー」も行われる。いずれも注目の対戦となるダービーの重要性やサポーターの心情も理解しているからこそ、心配なこともあるという。
「まだ新型コロナウイルスが落ち着いていない状況なんでね。今後どうなるか分かりませんけど、久しぶりのダービーですし、スタンドが満員になる中でやりたい。アウェーで4試合戦った後での試合になる。勝って勢いをつけて、ホーム開幕戦に臨みたいです」
◆山田 拓巳(やまだ・たくみ)1989年11月25日、東京都生まれ。32歳。幼少期からサッカーを始め、千葉・市船橋高に進学し、07年に全国高校総体優勝。卒業後の08年、山形に入団。J1通算17試合0得点、J2通算301試合9得点。170センチ、67キロ。
◆仙台対山形の「みちのくダービー」 Jリーグ参入後、初対戦はJ2時代の99年3月で、敵地に乗り込んだ山形が3―2で勝利。当時、東北のJリーグ参入クラブは仙台と山形しかなく「みちのくダービー」と呼ばれるようになった。Jリーグ参入後、カップ戦も含めた公式戦の通算対戦成績は、仙台の17勝14分け8敗。
〇…クラモフスキー監督はチームの仕上がりに自信をのぞかせた。1月中旬に御前崎で1次キャンプがスタート。現在は千葉県内で、19日の群馬との開幕戦に向けた最終調整を行っている。J1復帰を目標に掲げる指揮官は「キャンプでは自分たちのフィジカルや、やりたいサッカーを発展させることはできた。シーズンを通して常に成長していきたい」と闘志を燃やしていた