出世レースと言われるきさらぎ賞や共同通信杯が終わり、皐月賞トライアルの報知杯弥生賞ディープインパクト記念まで1か月を切った。あっという間にクラシック戦線が始まるだろう。
現3歳世代で最も勝利数が多いのは美浦・伊藤圭三厩舎と栗東・友道康夫厩舎で16勝。友道厩舎は勝率でもトップの32パーセントを誇っている。その友道調教師に、自厩舎のクラシック候補、さらに他厩舎のライバルについて直撃した。
現時点で最も完成度が高い1頭を尋ねると、「やっぱりドウデュース(牡、父ハーツクライ)」と即答だった。無傷3連勝で朝日杯FSを制し、21年度JRA賞の最優秀2歳牡馬にも選出。友道調教師が評価するのは、「オンとオフがはっきりしている」点だ。その長所は調教にも表れ、「1頭のときは『走るのかな?』と思うけど、併せるとやる気を出す」という。テンションが高いせいで無駄な体力を消耗することがなく、好走につながっている。
一方、伸びしろがある馬には別の2頭が挙がった。まずはホープフルS4着のフィデル(牡、父ハーツクライ)。7月の新馬勝ち後に爪のけがから野路菊Sを見送ったが、これが「ちょっと誤算」だった。約1か月の休養が影響し、以降状態がピークまでは上がっていない。前向きさが強く折り合いが難しい面もあるが、指揮官は「競走馬としてはいい方だと思う」と分析。致命的ではないぶん、うまく生かせば武器になるだろう。また、現在は爪も問題なく、春までには復調が見込めるという。
もう1頭がダンテスヴュー(牡、父キングカメハメハ)。東京スポーツ杯2歳S(4着)のときは体が成長過程で、「なかなか走りづらそうな感じをしていた」と振り返る。真横から見て前肢より後肢の方が高く、バランスが整っていなかった。きさらぎ賞は惜しくも鼻差2着だったが、馬体は均衡がとれた状態に近付いている。
個人的に興味深かったのがリアド(牡、父ディープインパクト)。4億7000万円で落札されたことも注目されますが…と友道師に切り出すと、「やっぱり小さい頃からそういう目で見られているから『おぼっちゃま』って感じの性格」とユニークな答えが返ってきた。「優等生。今は飛び抜けてすごいところはないけれど、あらゆる面をそつなくこなす」。性格もおとなしくて真面目だという。次走の毎日杯では、優等生の殻を破る走りが見られるか注目したい。
他厩舎で注目するライバルには、イクイノックス(牡、美浦・木村哲也厩舎、父キタサンブラック)やキラーアビリティ(牡、栗東・斉藤崇史厩舎、父ディープインパクト)が挙がった。イクイノックスには新馬戦でサトノヘリオス(牡、エピファネイア)が1秒5差の4着に敗れ、「最後の脚が全然違ったね」と完敗を認めていた。強敵2頭とG1馬ドウデュースの差としては、「ドウデュースはそんな強烈な勝ち方じゃない。その2頭は勝ち方がすごい」と指摘。両馬とも皐月賞への直行を表明しており、本番でも強敵になるだろう。
個性豊かな実力馬が多数そろう友道厩舎。ドウデュースは報知杯弥生賞ディープインパクト記念から始動し、ダンテスヴューは皐月賞に直行する予定だ。「なんとか皐月賞もダービーもいっぱい出したいね」と友道調教師。勝負の春を楽しみにクラシック候補を追いかけたい。
(中央競馬担当・水納 愛美)
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