【インタビュー】浦和・明本考浩「犬のように走って暴れる」…ポリバレント、ACL、日本代表への思い

スポーツ報知
浦和・明本考浩

 浦和は12日、今季初の公式戦として富士フイルムスーパー杯・川崎戦(日産ス)に臨む。2006年以来のJ1制覇を目指すチームのキーマンとして期待されるのが、加入2年目のMF明本考浩。J1屈指の運動量を誇り、左サイドバック(SB)や2列目、1トップなど複数ポジションをこなすポリバレントな24歳だ。スポーツ報知のインタビューに応じ、リーグとACLに挑む今季の抱負、日本代表への思いなどを語った。(取材、構成=星野 浩司)

 自身初のJ1挑戦となった昨季。明本はリーグ33試合で4得点、カップ戦を含めれば47試合に出場し、攻守で躍動した。

 「数字的には満足してない。SBの試合も多々あったけど、前線で使われた時には結果を求められる。決められるシーンも多かったので、あと2~3ゴールは決められたらよかった。SBでもアシストはしてないので課題だと思う」

 2020年のJ2栃木時代はボランチやFWなどが主戦場だった。昨年2月27日の開幕・FC東京戦は右MFでJ1デビュー。だが、1か月後にはリカルド・ロドリゲス監督から左SBへコンバートされた。

 「シーズン前は、SBをやる話すら出てなかった。3月27日のルヴァン杯・柏戦の数日前、練習のピッチでリカルドに『思い切ってやってくれ』と言われた。やったことなかったから不安はあったけど、『何とかやってやる』と…。与えられたポジションで結果を出すことだけを考えた」

 自身初のポジション。幾度の失敗を重ねながら、徐々に手応えをつかんでいった。

 「5月(1日の敵地)の福岡戦で、ゴール前で(GK西川)周作くんと交錯して失点した場面があった。コミュニケーションは取れてたけど、中央へしぼりすぎてて、自分のポジショニングが悪くてぶつかってしまった。最初の方はミスを恐れずにやって、1試合1試合の積み重ねで自分がどこにいればいいか把握できた。間合い、自分が上がってくタイミングはやっていくうちにつかんだ」

 チームのSB陣は宇賀神友弥、山中亮輔、西大伍(今季はそれぞれ他クラブでプレー)らがおり、日本代表経験がある先輩SBのプレーを見て学んだことは多い。

 「先輩のプレーを見ながら、自分の中でこうした方がいいと学んだ。試合中に『もっとこうした方がいいですか?』とアドバイスを聞いたり。リカルドのサッカーはポジションが大事なので、その取り合いのところで全然うまくいかない時は、ウガくんからポジションのことも言われた。大伍くんは練習の時に『ここどうしてますか?』と聞いたり。吸収しながら、見て学びましたね」

 さらに、昨夏には欧州でプレー経験がある日本代表DF酒井宏樹が加入した。

 「すごい刺激です。世界で戦った日本を代表する選手。宏樹くんから学ぶものは、守備のタイミングや絶対的な1対1の強さ。間合いや迫力は大事で、もっと強度を高めなきゃいけないと改めて感じた。最初、練習の時は怖くて話しかけられなかった。冗談ですけど(笑い)。サッカーの準備の部分がすごい。スパイク1つにしても、滑ってる選手がいたら『なんで固定式のスパイク履いてるの? 取替式を履いた方がいいよ』とチーム全員に言ってくれたことがあって、すごいなと思いました」。

 昨季は左SBで15戦、左MFで8戦、右MFで4戦、トップ下で3戦、1トップで3戦に出場。変幻自在にポジションを変え、攻守で主力を担った。

 「おおざっぱに言えば、SBなら失点をしない、相手のサイドハーフを止めること。FWなら決める、DFなら守る。それだけです。うまく切り替えはできていた。やってやるぞという気持ちが先にいってる感じですね」

 持ち味はJ1屈指の運動量。FWなら前線で猛烈プレスをかけまくり、左SBなら上下動を繰り返してチャンスメイク。とにかく、よく走る。

 「昔からすごい速かったわけじゃない。中学時代は素走りが本当に嫌いで、ケツの方を走ってた。(栃木ユースの)高校時代も能力は高くなかった。負けず嫌いだった分、走らなきゃいけなかった。やってやるぞという気持ちで一歩二歩が出た。(国士舘)大学時代は練習ですごく走った。合宿期間は一日10キロとか、ザラでしたね。精神面、フィジカル面を鍛えられました」

 大学1年からボランチ、3年からサイドハーフ、4年でボランチやFW。一番好きなポジションは、いったいどこなのか―。

 「どこなんですかね(笑い)。サイドもFWも楽しい。試合に出てるのが楽しい。例えば、FWで出られないより左SBで出られた方がうれしい」

 J1で着実に実績を重ねていた昨年の8月末。カタールW杯アジア最終予選にむけて発表された日本代表メンバーに自身の名前はなく、「悔しい」と率直に感じたという。

 「サッカーをやってる限りは日本代表を目指してる。悔しさがなきゃ高みを目指せない。ブレないために代表は意識しなきゃいけない存在なので、悔しさはあった。今までは東京五輪代表だけを目指してた。J1で試合も出させてもらった中で、もっと上を目指さなきゃいけないと感じた」

 日本代表への“指標”となる選手がいる。昨年9月25日のFC東京戦。日本代表の左SBとして主力を担うDF長友佑都と初めて顔を合わせ、終盤にはマッチアップもした。

 「寄せの速さ、体の使い方はすごかった。まだ僕が(代表に)行ける立場じゃないので、リスペクトしています。選ばれないからには差はすごくあるし、肌で感じたものはある。もっと成長できるなと思った」

 酒井や長友も活躍した欧州は、明本が夢に見てきた舞台でもある。

 「そこは目標でもあったので、挑戦したい。挑戦するためにはもっと浦和で活躍しなきゃいけない。プロ入ってから代表と海外は2つの目標だったので、そこはまだブレてない。5大リーグでプレーしたい」

 今季はリーグ戦に加え、自身初のACLにも挑戦する1年になる。

 「僕は日本人より外国人選手の方が対人は好き。1人1人の個性も違うし、その人の間合いもある。対人でボールを奪うことで自信にもつながるし、その駆け引きは楽しい。デカい外国人選手に吹っ飛ばされたら負けだと思っている。そういう面も含めて、アジアで戦いたい」

 J1で2年目。“野性的”で圧倒的なスタミナを誇る走力を武器に、浦和の中心選手としてリーグ優勝を狙う。

 「追っかけるような動物に例えてもらえれば何でもいい(笑い)。犬のように走りまくって、暴れたい。ただ、言っている以上はやらなきゃいけない。僕は汗をかかなきゃいけない選手。口だけではなく、チームのために何ができるかを常に考えてる。味方が楽になるように意識してプレーしたい」

 ◆明本 考浩(あきもと・たかひろ) 1998年1月31日、栃木・宇都宮市出身。24歳。小学生時代から栃木の下部組織で育ち、高卒後は国士舘大へ進学。2019年にはユニバーシアード(ナポリ)の日本代表に選ばれた。20年にJ2栃木へ加入し、40試合7得点。21年に浦和へ完全移籍し、33試合4得点。利き足は左。170センチ、65キロ。趣味は釣り、サウナ。

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