握力20キロでも天性の柔軟性…宇野昌磨、支え続けてくれる出水トレーナーに恩返しの2大会連続メダル

宇野昌磨(右)と出水慎一トレーナー(出水トレーナー提供)
宇野昌磨(右)と出水慎一トレーナー(出水トレーナー提供)

◆北京冬季五輪 ▽フィギュア男子フリー(10日・首都体育館)

 日本勢が2大会連続のダブル表彰台を決めた。男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)2位から出た初出場の鍵山優真(18)=オリエンタルバイオ・星槎=が世界歴代3位の合計310・05点で銀メダルに輝いた。SP3位の宇野昌磨(24)=トヨタ自動車=は18年平昌大会銀に続く銅メダルで2大会連続の表彰台となった。

 * * *

 17年春から宇野のトレーナーを務める出水慎一氏(43)は、五輪シーズンの今季、本人からある言葉を初めて言われた。「トレーニングお願いします」。それは、21年10月のGPシリーズ初戦・スケートアメリカでのこと。宇野が勝負イヤーに選んだフリー「ボレロ」は自己最高難度で、4回転は4種5本。「今まで以上の体力が必要になる」と覚悟を決めて向き合ったが、初戦で「自分の求めているレベルまで到達していない」と痛感した。

 出水氏が用意したのは、瞬発力と持久力の両方を組み合わせたトレーニング。演技と同じスケーティングとジャンプを意識し、主に筋持久力を鍛えるものだ。「ジョギングして3歩を思い切りダッシュ」「サイドステップをして、止まって、ダッシュ」など、「静→動」の動きを組み合わせたダッシュを6~7種類。週3回、30分前後の時間をかけ、多い日には50本を超えた。昨年11月に優勝したGP・NHK杯では「きつくなかった」と話していたと言い、確かな成果を感じていた。

 出水氏は「昌磨の筋力は多分、特別優れている部分はあまりない」というが、一方で「体が柔らかく、使い方が上手」だと話す。宇野は17年に握力を計測した際、左右とも20キロほどしかなく、上半身の筋力は出水氏いわく「女子」。それでも、生まれ持った柔軟性が緩急のついた力強い演技と、ダイナミックなジャンプを生み出している。「彼の良さは足首が柔らかい。ももの裏と関節も非常に柔らかく、動きに制限がかからずに自由に脚を使うことができている。肩甲骨の柔らかさは、上半身を使った表現に出ている。最初から『柔らかいな』と驚いた」という。

 宇野にとって出水氏は心の支えでもある。19年2月の四大陸選手権では、出水氏の「競技人生で1位がないのは寂しい。昌磨のスタイルで1位になったらいいんじゃない?」という言葉で奮起し、主要国際大会で初優勝を飾った。環境の変化もあり、世界の表彰台から遠ざかった19―20年シーズンも、近くで見守ってくれた。苦しむ宇野に、あえて言葉をかけなかった。「本人は『成長しないといけないとき、何か絶対に訪れる』とよく言う。昌磨は、『自分に負けたくない』のが1番強い。だから、自然とクリアできると思っていた」。自分を信じ、支え続けてくれる出水氏のため、最高の演技での恩返しだった。(小林 玲花)

【試合結果】フィギュア男子フリー

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請