北京五輪スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が9日に行われた予選で1位となり、11日の決勝に進出した。悲願の金メダルに挑む男が愛用する異例の「革製スノボブーツ」は平野の競技哲学を象徴するアイテムとなっている。
予選でビッグトリックを連発させた平野が履いていたのは、バートンの「アイオンレザー スノーボードブーツ」(税込み6万8000円)。一般的な防水素材「ゴアテックス」などではなく、天然牛革「フルグレインレザー」を用いているのが特徴の逸品。革は徐々に足になじむ特長があるものの、重量があり、防水性も比較的低くなる。
現在、トップライダーたちのブーツは軽量化や耐久性を重視するためハイテク化の傾向にある。北京五輪でも「革製ブーツを履いている選手はほとんどいないはず」(関係者)。だが、平野の思想は異なる。バートン・ジャパンの石原公司さんは「スノーボードには身につけるものやスタイルを大切にする文化があります。パフォーマンスでの多少の犠牲は払ってもカッコイイものを使いたい、という考えが平野選手にはあるのだと思います」と語る。
2大会連続銀の栄光の後、東京五輪にはスケートボード競技で出場した。挑み続ける男は、11日の決勝で最高難度のトリック「トリプルコーク1440」にチャレンジする予定。高々と舞った後、こだわりの革製ブーツが着地を支えることになる。(北野 新太)