98年スティンガーを連闘でG1制覇に導いた 藤沢和調教師の緻密な計算

スポーツ報知
藤沢和調教師の緻密な采配でタイトルをつかんだスティンガー

 大胆にみえる采配も藤沢和雄調教師(70)=美浦=の挑戦には、緻密な計算がある。98年、スティンガーがデビューから29日目、しかも、赤松賞(現1勝クラス)からの連闘で阪神3歳牝馬S(現阪神JF)を制する前代未聞の勝利を挙げ、世間の度肝を抜いた。

 デビュー戦を勝った後、赤松賞から連闘でのG1挑戦を頭に描いた。そこから調教メニューを組み、最終追い切りは負荷をかけずに馬なりで調整した。トレーナーは「普段からしっかり乗っていれば、3日前(追い切り)に大げさなことをしなくても、短期間で何回も使えるというのが、私の調教方法。昔、岡部(幸雄・元)騎手が『絶好調はいらない』と言っていたけどそうなんだ。コンディションさえ整えておけば使える。あの時も、強い調教をしていないから楽に勝てるようだったら使おうと思っていた」。

 赤松賞は思い描いたように楽勝だった。それでも、3歳(現2歳)の牝馬に過酷なローテーションを強いることになるだけに、さすがに決断は容易ではない。出馬投票するか最後まで悩んだが、当時、赤松賞は東京6Rで12時45分の発走(実際は5分遅れ)だったことが決め手だった。「ジャパンCの日でレースが早かった。渋滞に巻き込まれないで帰れる。負担も少ないから大丈夫だと思ってね」。予定通り、連闘で阪神3歳牝馬Sに向かった。レースは3番人気に甘んじたが、後方から直線はメンバー最速の上がりで突き抜け、3連勝で世代の頂点に立ってみせた。

 2歳時と異なり、桜花賞(12着)は逆にトライアルを使わずぶっつけだった。「成長を促すため」と話したが、実際その後、G1を勝つことはなかったとはいえ重賞4勝で、6歳まで息の長い活躍を見せた。「別に大胆ではない。今でもやることはあるから」。日々を積み重ねた先に、常識を覆す名采配が生まれる。(松末 守司)

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