羽生結弦が挑む4回転半ジャンプは「前人未到の領域」…無良崇人氏がジャンプ6種類を解説

前人未到の4回転アクセルに挑む羽生
前人未到の4回転アクセルに挑む羽生

 北京五輪で羽生結弦(27)=ANA=が3連覇に挑むフィギュアスケート。ジャンプ、スピン、ステップを組み合わせた演技の中で、美しさと強さを得点で競う。中心となるジャンプは全部で6種類。その特徴を、2014年四大陸選手権優勝の無良崇人氏が解説した。羽生が北京五輪で成功を目指す4回転半ジャンプ(クワッドアクセル)については、跳び箱の世界記録を引き合いに「前人未到の領域」とうなった。(取材・構成=大谷 翔太)

 6種類のジャンプは、トウループからアクセルまで順に基礎点が振り分けられ、技の美しさで出来栄え点(GOE)が加算される。無良氏は「選手それぞれに得意不得意はあります」とした上で、各ジャンプの特徴や難しさを解説した。【注】カッコ内は基礎点で全て4回転基準。ジャンプは左回転の場合。

 ×  ×  ×  ×

 〈1〉トウループ(9・50点)

 靴のつま先のギザギザの部分で氷を蹴って跳ぶことを「トウ(つま先)をつく」と言います。トウループは、右足を曲げて左足のトウをついて跳びます。重心を右足から左足に移す時に僕たちは「またぐ」と表現しますが、これは例えると左足でトウをつく瞬間に自分の左側にある溝をまたいでいくイメージ。「またぐ」ジャンプは、腰の左側を左(外側)に開いていきやすく上半身をひねりやすい。よって回転しやすいことが、基礎点が最も低いとされる理由の一つかと思います。

 〈2〉サルコー(9・70点)

 靴の鉄の部分(エッジ)で釣り針のような軌道を描き、最後に小さいターンをきっかけに跳ぶと言われているのがエッジジャンプ。サルコーは、右足を前に動かして、後ろに滑らせた左足で釣り針を描くように跳びます。跳ぶ瞬間に両足がインサイドエッジとなり、膝下が「ハの字」になるのが特徴の一つ。トウはつきませんが、トウループと動きが近く跳ぶ最後の局面で一度またぐ動作が入るため、跳びやすいとされています。

 〈3〉ループ(10・50点)

 エッジジャンプの一つ。サルコーとは逆の足、右足で滑ってきて釣り針を描いて跳ぶのがループです。跳ぶ瞬間に足が交差しているのも、特徴の一つです。

 〈4〉フリップ(11・00点)

 左足で滑って、右足のトウをついて跳びます。フリップとルッツは、パッと見たところ同じように見えますが、曲がっている左足がインサイドエッジであればフリップです。靴の刃を上から見て、左足の親指側に傾いていればインサイド、小指側ならアウトサイドとなります。長方形のリンクを縦に上から滑ってきた時に、フリップはインサイドエッジになりやすい右側カーブの軌道を取るというのが基本的な跳び方です。

 〈5〉ルッツ(11・50点)

 フリップと同じように、左足で滑って右でトウをつくジャンプ。左足はフリップとは逆のアウトサイドエッジとなります。左足を小指側に傾けるため、その時に一度腰を右にひねる動作が入る。本来、左にひねりたい中でそういう逆の動きが入るため、左への回転をつけにくくなり難しくなります。テレビでよく言われる「エッジエラー」とは、例えばルッツを予定していたジャンプで左足がインサイドエッジになってしまった時。減点の対象です。

 〈6〉アクセル(12・50点)

 アクセルは、6種類の中で唯一前向きに跳びます。左足で滑って、右足を前に振り上げて跳ぶ。フィギュアスケートは、基本的に後ろ向きに滑っているため、前が見えない状態から跳ぶ事への恐怖心はありません。ただアクセルは、リンクの壁に突っ込んでいくような形になるため恐怖心があります。また、半回転多いことで「もっと回そう」としなければいけない。他のジャンプは意外と、手を開いている状態から手足を素早く体の中心にまとめることで跳べることが多い。ただアクセルは階段を3、4段とばして上るように踏み込んで上にあがろうとしなければいけないので、その難しさがあります。

 現在、4回転ルッツを跳ぶ選手はいますが4回転半を成功させた選手は世界にいません。昔、「筋肉番付」というテレビ番組の中でモンスターボックスという跳び箱の競技がありました。あの世界記録が、確か25段くらい。そういう身体能力の頂点の頂点で、跳べる人がいるというのが4回転ルッツかなと。羽生選手が挑んでいる4回転アクセルは、それのさらに数段上。誰にも挑戦させたことがない、前人未到の領域に達しているという感覚で見ています。

 ◆フィギュアスケート男女シングルのルール

 ▼SP(ショートプログラム) 演技時間は2分40秒±10秒。ジャンプは、2回転または3回転半、3回転または4回転の単独(女子は4回転は跳べない)、コンビネーション(アクセルと単独で選んだジャンプを含まない)の3回。スピン3回。ステップ1回。

 ▼フリー 演技時間は4分±10秒。ジャンプは7回まで。男子は平昌五輪後に演技時間が30秒短くなり、ジャンプは8回から1本減った。コンビネーションは3回までで、うち一つは3連続が可能。すべての3回転および4回転のうち、2種類のみを2回行うことができる。その2種類の繰り返しのうち、4回転は1種類に制限(18―19年シーズンから)。スピン3回。ステップ1回、コレオシークエンス1回。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請