現役2位タイの重賞83勝を誇る池江泰寿調教師(53)=栗東=が、2年ぶりの重賞タイトルをかけて今週末の2重賞に管理馬を送り込む。フォースクエアで参戦する第62回きさらぎ賞・G3(6日、中京)は、過去に調教師単独最多の4勝を挙げている得意レース。06年から続けてきた重賞勝利は昨年、15年連続でストップしたが、シュリで参戦する第72回東京新聞杯・G3(6日、東京)とともに、仕切り直しの 勝利を目指す。
相性抜群の舞台で弾みをつけ、再び勝ち星を積み重ねていく。きさらぎ賞で歴代単独最多の4勝を挙げている池江調教師。今年は10月に新馬勝ちしたフォースクエアで参戦する。「もう少し男馬らしい体になってほしい。課題はあるが、致命的ではない。伸びしろはある」。馬体の成長面で改善点を挙げながらも、期待を寄せた。
池江厩舎においては出世街道の一戦だ。16年には、サトノダイヤモンドが無傷の3連勝でこのレースを完勝。その後、3冠全レースに出走し、菊花賞を制した。3着に敗れたとはいえ、11年のオルフェーヴルもこのG3から3冠達成につなげた。かつて管理した実力馬と比べても「潜在能力は遜色ない」と池江師。1戦1勝のエピファネイア産駒に、大きな可能性を感じ取っている。
初戦では出遅れながらも最内の好位につけ、直線で鋭い伸び脚を披露。トレーナーは「ゲートの出が悪かったが、途中にジョッキーの機転でポジションを上げたのが勝因」と振り返る。3か月半ぶりの実戦だが、先週は池添を背に栗東・坂路で52秒1―12秒1。併走馬にも追走先着し、「久々なので、1週前はしっかりやりました」と、意欲的な調教を積んでいる。
06年の朝日杯FSで初めて重賞を制覇してから、毎年途切れることなく83勝を積み重ねた。しかし20年12月の中日新聞杯を最後に勝ち星がなく、昨年、連続勝利は15年で途切れた。今週は東京新聞杯にもシュリで参戦。「体が引き締まり、動きも良くなっています」と自信を見せる。将来性豊かな3歳馬と、充実期に入った6歳馬。対照的な2頭で、再びタイトル量産の歩みを始める。(水納 愛美)
◆池江 泰寿(いけえ・やすとし)1969年1月13日、京都府生まれ。53歳。93年にJRA競馬学校厩務員課程に入学。国内だけでなく、95年から英国のスタウト厩舎、96年から米国のドライスデール厩舎と海外でも経験を積み、04年に厩舎を開業。JRA通算761勝。JRA重賞はG1・20勝を含む83勝。