【森永卓郎の本音】 暗号資産は通貨になれるか

スポーツ報知
森永卓郎

 ニューヨーク市のエリック・アダムス新市長は、掲げていた「最初の3回の給与は、暗号資産に変換して受け取る」との公約を実行に移した。ニューヨークが金融最先端を走る都市だということをアピールするためだという。中米のエルサルバドルでは、昨年、ビットコインを法定通貨に指定しており、暗号資産が通貨としての市民権を得始めたようにみえる。

 しかし、私は暗号資産が通貨になることはないと思う。価格が安定しないからだ。一般の通貨、例えば日銀券は、国債や株式や不動産の代金として支払われて、流通する。つまり、日銀券は紙切れではなく、資産の裏付けがある。だから価値が安定しているのだ。

 一方、暗号資産には、資産の裏付けがない。暗号資産の価格は、純粋に需給だけで決まるのだ。だから、短期間で価値が何倍にも値上がりしたり、何分の1に値下がりもする。例えば、給料を暗号資産でもらって、半月放置していたら半額という事態も起こり得る。生活のための道具としては、使い物にならないのだ。

 私は、暗号資産はポケモンカードのようなものだと考えている。ポケモンカードも資産の裏付けはない。しかし熱心なコレクターがいるため、中には1枚1000万円以上の値がついているものもある。だが、その値段はとても不安定だ。

 もし、「今日から通貨はすべてポケモンカードに替えます」と政府が宣言したら何が起きるのか。あらゆる商店が大混乱に陥るだろう。ポケモンカードがいくらの価値を持つのか、受け取るたびに調べて、なおかつ手にした瞬間に現金化する必要があるからだ。もちろん暗号資産にも送金が容易といったメリットはある。だから中央銀行自身が、価値の安定した暗号資産を発行すべきだろう。(経済アナリスト・森永卓郎)

社会

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請