国内のプロボクシングを統括する日本ボクシングコミッション、ジム会長らで構成される日本プロボクシング協会および東京運動記者クラブ・ボクシング分科会は29日、プロボクシングの2021年度年間表彰選手を発表。WBA&IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)統一王者・井上尚弥(大橋)が4年連続5度目の最優秀選手賞(MVP)を獲得した。井上はKO賞(2年連続5度目)とダブル受賞となった。
5度目のMVP受賞は、フライ級で日本初の世界チャンピオンに輝いた白井義男、13度連続防衛の日本記録を持つ元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高と並ぶ史上最多タイの記録。井上は「白井さん、具志堅さんというチャンピオン、先輩方に並ぶ記録。こういう賞を受賞できて光栄だと思います。毎年、この時期に発表がありますけど、自分がボクシングと向き合って、良い試合をしていく中で、MVP受賞は自分にとって一つのモチベーションになりますし、また形として残るものなので、自分が意識して、またさらに毎年取れるように頑張っていきたいなと思います」と喜びを表すとともに、早くも2022年のMVP獲得にも意欲を示した。
井上は昨年6月19日、米ラスベガスで指名挑戦者のマイケル・ダスマリナス(28)=フィリピン=から左ボディーで3度のダウンを奪い3回KOで沈めた。同12月14日には東京・両国国技館でアラン・ディパエン(タイ)に8回TKO勝ち。日米のリングでKO勝利を収める快挙を見せた。今回の投票では有効投票数37のうち、32票を獲得し、文句なしでMVPに選ばれた。井上は「自分は勝つだけじゃなく、いかにパフォーマンスを見せるかというのを重視して、お客さんに来てもらったファンの方、テレビで見てもらったファンの方に満足してもらいたいと思ってやっているので、それがこういう賞につながっていると思う」と冷静に話した。
最初にMVPを獲得したのが、世界2階級制覇に成功した2014年。「7年前に受賞した時とは少し違って、毎年取っていきたい賞という思いになった。自分が結果を出して、しっかりと取らなくてはいけないという、自分が目標とする賞。毎年、そこを目指してやっていきたい。今年、また良い試合をすれば、そういった記録を塗り替えていくことができるので、さらにモチベーションも上がります。今年は大橋(秀行)会長から『勝負の年になる』と言われている。そこで勝ち進むことができれば、今年も取ることができると思います」と言葉に力を込めた。
大橋会長は「MVP獲得はうれしいの一言ですし、2022年も取れば、最多受賞は尚弥一人だけになる。尚弥に伝えたように、今年は厳しい戦いが続く。激しい、やりがいのある試合が続いていくと思うので、それを乗り越えていけば、自然と最多記録につながると思います」と期待を寄せた。