元Jリーガー・増嶋竜也氏が「リバック・プロジェクト」で選手をサポート!

スポーツ報知
リバック・プロジェクトで選手をサポートする増嶋竜也氏

 移籍先が決まらないJリーガーを集め、合宿を行いながら新天地に向けた準備を進める「Reback Project 2022」(リバック・プロジェクト)が、1月17日から2月7日までの3週間、宮崎県新富町で行われている。同プロジェクトの主催者で、かつて柏や千葉などで活躍した元Jリーガー・増嶋竜也氏(36)に、同プロジェクトを行う意味、そして育てていきたい新たな仕組みづくりについて聞いた。(取材、構成・金川 誉)

 昨年始まり、今年で2回目となるリバック・プロジェクト。主催者の増嶋氏は高校時代に市船橋高で全国制覇、Jリーガーとしても2011年に柏でJ1優勝に貢献した名DFだ。20年末の現役引退後、ふとしたきっかけで同プロジェクトを立ち上げることになった。

 「僕は引退という決断をして、少しゆっくりと過ごそう、と思っていました。その時、たくさんの選手から『お疲れ様』と声をかけてもらったんですが、コロナ禍ということもあってか、彼らの多くから『まだ次のチームが決まっていないんです。練習場所もないんです』という声を聞いて。これではもしチームから声がかかっても、力を発揮できず、採用されない。それはフェアじゃない。じゃあ行き先が決まっていない選手を集めて、(クラブの)スカウトの人たちが見ることができる場があれば、と。選手にとってもクラブにとっても、理にかなっている。それはサッカー界にもプラスじゃないか、と思ったんです」

 自身のSNSで思いを明かすと、大きな反響があった。選手会主催のトライアウトもあるが、例年、シーズン終了後の12月などに行われる。この時期は、各クラブ主力クラスの編成に動いているため、戦力外となった選手まで目が行き届かない場合も多い。困っている選手たちを、放ってはおけなかった。人脈をたどって方法を模索し、資金をクラウドファンディングで集め、スポンサーを募って駆け回る日々がスタートした。

 「僕はありがたいことに、悔いなく地元のクラブ(千葉)で引退できた。他の選手たちにも、心残りなくやめてほしいんです。ひとり練習する公園で、引退を決めたと聞くのが悲しすぎて。『コロナの影響でやめた』って言い訳をし続ける人生はつらい。もしオファーが来なくても、最後にこのプロジェクトで試合をやって、家族を呼んでサッカーしてる姿を見せて、次のステップに進んでほしい。そうすることで、少しでも悔いを残さないように」

 第1回の昨年は参加した3選手が、Jの舞台へと戻っていった。第2回の今回も15人以上の選手が参加し、数々のJクラブがキャンプを行う宮崎県の新富町で実施。町の協力も得て、同町を拠点に、WEリーグ(女子サッカープロリーグ)入りを目指すヴィアマテラス宮崎の選手たちからのサポートも得ることで、練習に集中できる環境は整えた。

 「新富町には本当に感謝しています。昨年も(大阪で)充実した環境で行えたのですが、やはりキャンプ地の近くじゃないと、スカウトに見に来てもらうのも難しいし、練習試合も組めない。ヨーロッパでは、こういう選手を集めて遠征するという話も聞きます。色んな場所を回って、試合をしながら、クラブが決まり次第1人、2人と抜けていく。日本でもそういうことができないか、という思いもあります。もちろん資金の問題もあって、簡単ではない。今はここで、練習試合も行えることは大きいと思っています」

 ボランティアとして同プロジェクトに取り組む中で、第1回では参加選手が負傷するなど様々な苦難もあった。それでも口コミやSNS、メディアを通した発信もあり、第2回にも元日本代表MF橋本英郎(42)=昨季限りでJ3今治を退団、写真=、DF金正也(33)=G大阪などで活躍、昨季限りでJ3藤枝を退団=らが参加。今回もすでに、獲得を検討するクラブの練習に参加を要請された選手がいる。

 「去年は佐藤選手(和樹、当時J3八戸)がプロジェクト中に練習参加を要請されて『行ってくる!』となって。ケーキでお祝いして『もう帰ってくるなよ』って送り出したんですよ。そこで契約を勝ち取ったんです(3月にJ3福島と契約)。感動的でしたね。他の選手もピリッとして『俺も続くぞ』っていう雰囲気にもなりました。その時は感動したし、本当いいプロジェクトだなって、自分ながらに感じる一瞬でした」

 将来的には、同プロジェクトをJリーグや選手会に受け継いでほしい、という思いを持つ増嶋氏。新たな選手サポートの形として、同プロジェクトが育っていくことを願っている。

 ◆増嶋 竜也(ますじま・たつや)1985年4月22日、千葉県生まれ。36歳。市船橋高から2004年にFC東京入団。甲府、京都を経て、11年に柏へ。17年は仙台、18年から千葉でプレーし、20年限りで現役引退。J1通算265試合12得点、J2通算72試合7得点。12年に元バドミントン日本代表・潮田玲子と入籍。現在はYouTube『増嶋家ちゃんねる』を開設し、家族でさまざまな動画も投稿している。

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