伊藤みきさんの北京五輪モーグル展望…堀島行真は金メダルへ一騎打ち、川村あんりは三つ巴抜け出す

スポーツ報知
伊藤みきさん

 フリースタイルスキーのモーグルは、1998年長野五輪女子の里谷多英さん以来の金メダルが期待できる注目競技だ。男子は今季W杯全戦表彰台の“絶対エース”堀島行真(24)=トヨタ自動車=、女子は同3勝のニューヒロイン、川村あんり(17)=東京・日体大桜華高=を軸に挑む。2006、10、14年五輪3大会連続代表の伊藤みき氏(34)が、日本勢の戦いを展望。モーグル競技の魅力や、観戦のポイントを解説した。(取材・構成=手島 莉子)

 日本は男女とも最大の代表4枠をそろえたのが戦力の証しです。男子は堀島選手とキングズベリー選手の一騎打ち。勝敗の鍵になるのは、予選の順位です。ラウンドごとの点数は持ち越しませんが、決勝までの流れは重要。予選から上位にいることで金メダル争いを優位に展開できるでしょう。女子は川村選手、ラフォン選手、アンソニー選手が表彰台を分け合う試合が多く、3選手の争いは見どころ。川村選手は17歳と若いですが、経験豊富で勝ち方やコースへの対応力が高い。頂点は十分手が届くと思います。

 北京は気温が低く、非常に硬い雪質が想像されます。硬いと重心が後傾して受け身の滑りをしてしまいがちですが、日本勢は板の中央にしっかりと乗ってコントロールする、基本に忠実な滑りで適応できそうです。堀島選手は、同様に気温がとても低かったフィンランド・ルカのW杯開幕戦で3位の表彰台に立ちましたね。日本チームは1月下旬もルカで事前合宿を行っており、急斜面のコースでいい調整ができているでしょう。

 W杯で今季表彰台に立った女子の柳本選手が落選するほど、現在の日本は層が厚い。要因にはさまざまな取り組みがあります。例えば、各選手の動きの癖を修正するトレーニングプログラム。平昌後から取り入れたのですが、体を自在に動かせる選手が増えたと感じます。堀島選手も4年前より体の軸が安定しました。

 モーグルは五輪で初めて見る人も多いと思います。エアで楽しむポイントはアクロバティックな技の回転数や、大きさだけでなく、空中でスキー板をつかむ「グラブ」にもあります。つかむ位置や手も選手ごとに違う、オリジナリティーあふれるグラブは注目ですね。また、採点は減点方式のため「ミス」が見るべき点。エアの着地でお尻が落ちていないか、脚を開いて着地していないか、などですね。正確さだけではなく、スピードが出ているかもポイントです。ターンは有力選手ほどコブの浅い部分を滑れる技術があります。無駄な力感がなく一般の方が「これなら自分も滑れそう…」と思ってしまう選手ほどうまいということです。

 男女とも金メダル候補を擁す今大会。期待通りメダルなら快挙ですし、このチャンスを今後のモーグル界の新たな歴史を作る一ページにしたいですね。私の現役時代は米国がとにかく強かった。その時、米国は1か国だけが強すぎる状態は、五輪競技におけるモーグルを考えると望ましくないとして、世界中にコーチを派遣して普及に努めた過去があるんです。日本も積極的に競技を引っ張る働きかけができるような、真の強豪国になっていければ素晴らしいし、北京がその第一歩になるように期待します。

 〇…前回平昌大会の男女金メダリストは、今大会も優勝候補の一角。日本勢にとって、強力なライバルとなりそうだ。男子のミカエル・キングズベリー(29)=カナダ=はW杯9戦6勝で、昨年12月のアルプデュエズ大会から今年1月のディアバレー大会まで4連勝した。女子のペリーヌ・ラフォン(23)=フランス=も、今年1月のW杯4試合で全て表彰台に立ち、うち2勝と状態を上げている。

 ◆日本の五輪モーグル 正式種目となった92年アルベールビル大会には、男子の山崎修が出場し、40位。女子は94年リレハンメル大会で里谷多英が初出場し、11位に入った。メダルは過去3例あり、98年長野大会金メダルの里谷が第1号。02年ソルトレークシティー大会でも里谷が銅。男子は、18年平昌大会で原大智が史上初の銅メダルに輝いた。

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