宝塚雪組スター・縣千、バウ初主演で「青春の美しい瞬間」切り取る

スポーツ報知

 宝塚歌劇雪組の若手スターたちが、兵庫・宝塚バウホール公演「Sweet Little Rock ’n’ Roll」(脚本・演出、中村暁)で、元気に“新春ロックショー”を展開している。2015年入団の第101期生では初となるバウ主演を務める縣千(あがた・せん)らが、舞台狭しと躍動している。

 1950年代のアメリカの高校を舞台に、カップルにさせたい男女2人を周囲がくっつける作戦を描くストーリー。現代と違って、携帯、メール、SNSもないがゆえに成立する物語ではあるが、確か世界は80年代ぐらいまでこうだったよなあ…と、純朴な時代が懐かしく、いとおしくなる青春劇。

 85年の月組公演「スウィート・リトル・ロックンロール」の再演で、当時はファンの共感も伴ったのでは。今ではテレビや映画でもリアリティーがないが、そこに魔法をかけて成立させるのがタカラヅカの力で、存在意義でもあるだろう。

 縣は転校生・ビリー役。学校生活には何も期待していない、クールな役どころだが、会えばケンカばかりのシンディー(夢白あや)との関係が、仲間との策略で変化。硬派なイメージの縣の、軟派に振れる加減が新鮮だ。歌に課題はあるが、それも伸びしろとして大いに期待したいスターだ。バウ2度目のヒロインで5年目の夢白も勝ち気な役どころが似合うタイプで、こちらも“ほぐれ具合”が妙味だった。第一幕で終わっても納得できる内容だったが、第二幕でもうひとひねり。100期以下の若手が大半を占めるキャスティングで、おのおのの見せ場も多かった。

 アメリカンロックに乗せたダンスも軽やかで楽しい。縣&夢白のデュエットダンスは、劇中BGMでも使われたザ・ビーチ・ボーイズの、しっとりナンバー「Surfer Girl」で。オールディーズに寄せた公演はもっとあってもいい。

 初日のカーテンコールで縣は「甘酸っぱい物語。青春の美しい瞬間をみんなと過ごすように、私たちもお客様と特別な時間を過ごせたら」と、あいさつした。入団7年目での初センター。まさに青春の瞬間を刻み、その積み重ねがさらに躍進の力になるはずだ。

 雪組は彩風咲奈(あやかぜ・さきな)&朝月希和(あさづき・きわ)のトップコンビ、2番手・朝美絢(あさみ・じゅん)らが出演予定だった東京公演「ODYSSEY(オデッセイ)」(東京国際フォーラム、10~22日)が全日程中止に。縣は、彩風から「千秋楽まで無事に公演ができますように」「離れていても思いは一つ」とメッセージをもらったと紹介。「その思いを背負って」と、雪組名物の締めのパフォーマンス「雪組、どっせい!」の音頭を取った。

 パートナー・夢白は「舞台に立たせていただくことが当たり前でないと実感する日々でしたが、一回一回の公演を大切に“高校生活”をエンジョイしたい」と話した。

 ビリーの友人で、公演2番手格のロバートを演じたのは6年目・彩海(あやみ)せら。新人公演初主演を果たした「壬生義士伝」(19年)でも繊細な演技で涙を誘った芝居巧者は、メアリー(音彩唯=ねいろ・ゆい)との純情劇で、むずがゆくもほわっとした空気を醸しだした。千秋楽翌日の26日付で月組に組み替えされる。「今回が雪組生として立たせていただく最後の作品となりますが、仲間とお客様と今、この瞬間を心から楽しんで全力で駆け抜けたい」と涙交じりにあいさつした。

 その相手役の音彩も、洋が似合うルックスが本公演にぴったり。次の大劇場公演「夢介千両みやげ」は19年の入団以来初めての日本物だが、そのキラキラ感がどう発揮されるのか注目したい。(筒井 政也)

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