J1清水エスパルスが20日、今季初となるフルコートの紅白戦(30分)を行い、1―1で引き分けた。MF滝裕太(22)が開始直後に“チーム1号”となるミドルシュートを決めれば、終了間際にDF山原怜音(22)が左足で同点弾。主力組も出場する中、22歳コンビが開幕スタメン入りへ猛アピールした。沢登正朗ユース監督(52)も就任後初めてトップチームの視察に訪れ、若手の活躍に目を細めた。
得意の形で口火を切った。開始5分、MF滝が左サイドから中央へ切れ込み、右足を振り抜く。持ち味のドリブル突破から“チーム初ゴール”をマークした。昨季、前線のスーパーサブとして12試合1得点だった背番号26は「今年はああいう形で多くゴールしたい」と手応えを口にした。
同世代のルーキーも続いた。筑波大から加入のDF山原は終了間際、こぼれ球を左足で押し込み同点ゴール。左サイドバックとして「もっと決定機をつくらないと」としつつも、何度もスピードに乗ったドリブルで敵陣深くまで攻め上がり、攻守で存在感を発揮した。
覚悟のシーズンが始まる。プロ5年目の滝は「海外に行きたい。下の世代がもう海外で活躍している」。非凡な攻撃センスで世代別代表にも選出されてきたが「守備のことしか考えていなかった」とプレスをかけ続け、平岡宏章監督(52)が掲げる「素早い攻守の切り替え」を体現した。昨季は特別登録で5試合に出場した山原も「新加入なので一番下からのスタート。もっとアピールしていかないと」と語気を強めた。
来週には対外試合を予定。平岡監督は「アピールの場になる」と、1か月を切った開幕(2月19か20日)に向けた実戦モードに入る。山原が「開幕からスタメンで出たい。自信はあります」と言えば、滝も「もう若手じゃないと思っています」。伸び盛りの22歳コンビが、清水の中核を担う。(内田拓希)
〇・・・沢登ユース監督トップ初視察
清水ユースの沢登監督が15日の就任後、初めてトップチームの練習を視察した。スタンドから大熊清GM(57)とともに、ユース出身MF滝らの奮闘を目にし「育成組織出身の選手が活躍するのが、クラブにとっての理想です」とうなずいた。練習後は、次々とあいさつに訪れた選手たちと笑顔で会話を交わした。
ユースの練習はこの日までに2度指導しており、月末の「ジャパンユーススーパーリーグ」から実戦に入る予定となっている。新指揮官としての船出に向け「年齢は関係ないと思っている。高1でも高3でも、いい選手から積極的に使いますよ」と「実力主義」を強調した。