【今月の国立劇場・歌舞伎から】16歳、尾上左近、子役卒業し、じわじわ成長中

スポーツ報知
「南総里見八犬伝」での尾上左近(国立劇場提供)

 1月20日に16歳になった若手歌舞伎俳優・尾上左近の成長が頼もしい。今月は東京・国立劇場公演「南総里見八犬伝」(27日千秋楽)で、八犬士で一番若い犬江親兵衛を演じている。りりしく、エネルギーあふれる演技を見せている。

 筋書き(パンフレット)にはこう書かれている。「昨年は、それまで子役として父(尾上松緑)の後ろについて出ていた僕が、先輩方に助けて頂きながら、本格的に一人の立役(歌舞伎の男役)として歩み始めた年でした」。この部分が印象的で、少し話を聞いてみることにした。

 「原作では後半に出てくる八犬士で最年少の親兵衛ですが、幼いながらも何でもこなせる。その一方でどこか小生意気な部分もある。そういう面を出すのが難しいです」。現在、高1。幼いころから歌舞伎が嫌いなったことはないという。「子役のころは、単純に楽しいという気持ちだけで舞台に立っていた。でも大人の役に近づくにつれ、悩むことが増えている。楽しいだけではいけないですね」

 父・尾上松緑が、中学時代に父、初代尾上辰之助(87年没、享年40)を失い、苦労してきたのは知っている。「父は言葉でなく、背中で語るタイプの人。ずっと舞台の上でやって見せてきてくれた。そんな姿を見て歌舞伎の世界で生きていきたい、という気持ちが強くなりました」

 八犬士のリーダー格で音羽屋を率いる尾上菊五郎のそばで出演を待つ時間がある。「舞台に出るときに一瞬で役(犬山道節)に変わっておられる。スイッチが入ったかのような集中力のすごさ。自分はまだまだ。課題がたくさんあると気づかされます」。歌舞伎役者を志す理由を「創作の世界ですが、自分があるキャラクター(役)となって人に楽しさや感動を与えられることがすばらしいと思うからです」と答えた。

 昨年12月には坂東玉三郎と共演し、指導も受けながら「信濃路紅葉鬼揃」(歌舞伎座)に出演。2月には中村錦之助、中村鷹之資の共演で「石橋」(歌舞伎座)が控える。「舞台に出続けられることがうれしく、幸せ。少しでも新しいことを身に付けたい」と話す。

 4年前、小6時に取材したことがあった。そのときは緊張で消え入るような声で受け答え。それでも取材が終わると「芸能人を囲む取材のとき、もみくちゃになってケガとかしないのですか?」と聞いてくる男の子だった。今回も、取材が終わると「まだ全然、取材に慣れなくてすいません。記事を書くのに苦労されるんじゃないかと思います」と気遣う優しい青年だった。(記者コラム)

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