巨人・長嶋茂雄終身名誉監督が語るV9軍団最強の理由 原巨人と重ね合わせてエール

スポーツ報知
69年日本シリーズ第6戦で阪急を破りV5を達成。歓喜に満ちた表情で選手から胴上げされる川上監督を魚眼レンズが捉えた

 6月10日に創刊150周年を迎える報知新聞は特別企画「スポーツ報知150周年 瞬間の記憶」をスタートします。毎月1回、秘蔵写真とともに当時を振り返るもので、第1回は巨人V9の軌跡を川上哲治監督の胴上げ写真で回顧。巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(85)=報知新聞社客員=が強さの秘密を語り、今季の原巨人へエールも送ります。

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 2022年。巨人にとっては「勝負の年」と言っていいだろう。昨年味わった屈辱は優勝して取り返す。リーグ3位と足りなかった力を取り戻す年になる。スローガン「不屈」の通り強い心を持ち、10年ぶりの日本一奪回へ進化を遂げよう。1965年から9連覇した時もそう。常にチームは強さを追い求めていた。

 勝つことで自信をつけ、最強軍団になった。それがV9だった。ベンチではいかに点を取るかを話し合い、ビハインドであっても「大丈夫、必ず逆転できる」という強気な声が飛び交った。大型連敗なんてあっただろうか。記憶にない。投手には「俺らは5点取るから3点までに抑えてくれな」と約束し、エース対決では「何とか早く点を取るから我慢してくれ」と伝えた。投打において一体感があり、本当に強かった。私と王(貞治)さんは口にすることで自らにプレッシャーをかけた。その分、陰で努力した。雨であろうと走った。そうやってチームを引っ張った。

 主に1、2番を担った柴田勲さん、高田繁さん、土井正三さんは「何とかONに回すんだ!」と命がけで出塁し、バババッと走って得点圏をつくってくれた。王さんはV9期間ずっと本塁打王を獲得し、今で言う無双状態。私は勝利につながる打点に集中し、打席では「やったぜ、チャンスだ。決めてやる」とワクワクした。打点王は王さん6度に対し、私が3度と巨人で独占。首位打者も2人で6回取った。互いの好不調で3、4番を入れ替えてもらい気分転換になった。巨人ファンの期待がビシビシと伝わってきて「よし、魅せてやろう」と、わざと派手なプレーをしてみたもんだ。

 今の巨人と重ね合わせても、梶谷や松原、吉川らが、V9時代でいう柴田さんや高田さんだろう。後ろの坂本、丸、岡本和がいるように、昔と変わらぬ実力者がそろっている。ベンチには原監督。川上哲治監督がチームプレーを優先するドジャース戦法を導入したように、時に強気で、時に緻密(ちみつ)な采配は見ている者を楽しませてくれている。個々が役割を貪欲にまっとうすることで、得点力は大幅にアップするはずだ。

 先発投手には右の堀内恒夫さん、左の高橋一三さんがいて、城之内邦雄さんや金田正一さんなどそうそうたる顔ぶれだった。抑え投手制を確立したのもこの頃で、終盤になると決まって“8時半の男”宮田征典さんが出てきた。今思うと確かに、8時半くらいだったな。ちょうどおなかがすく頃だからね。現代にはセットアッパーの役割もある。先発は最低6回を3失点で抑えればいい。堀内さんが菅野であるならば、高橋さんは? 城之内さん、金田さんの代わりは誰になるのか。今年は若い投手に素晴らしい素材が多いと聞いた。現有戦力の戸郷や高橋優貴、2年目の山崎伊織や3年目の堀田賢慎、新人も含めて層を厚くし、王国を築いてもらいたい。

 今と昔では野球もだいぶ変わってきた。ただ、勝利への執念や気迫といった強い気持ちは持ち続けてほしい。そして、ファンを一番に考え、喜んでもらえるプレーを心がけてもらいたい。今年は報知新聞が創立150周年を迎えた。現役の時から私を盛り上げていただき、支えてくれた“恩人”だ。巨人が優勝し、10年ぶりの日本一を果たすことで祝福ムードに花を添えられるだろう。全員が指針「不屈」のもとに、躍進する1年間であってほしい。

(報知新聞社客員)

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