尾上菊五郎、自分の出番減っても若手起用「早く育ってほしい」…国立劇場で「南総里見八犬伝」出演中

スポーツ報知
尾上菊五郎

 昨年、文化勲章を受章した尾上菊五郎(79)は今月、東京・国立劇場で初春歌舞伎公演「通し狂言 南総里見八犬伝」(27日まで)に出演中だ。「八犬伝」は“菊五郎劇団”の当たり狂言としても知られている。今作の手応えや製作上の狙いを聞くとともに、歌舞伎役者を束ねる立場としてコロナ禍の今、何を考えているのかを聞いてみた。(内野 小百美)

 不思議な因縁でつながる「八犬士」の奮闘が、壮大に描かれる曲亭馬琴の大作。冒頭、尾上菊之助(44)の以下のような解説から始まる。「時は室町時代、関東の地に戦乱を起こし、暴虐の限りを尽くした扇谷定正。これはその暴君に立ち向かった8人の男たちの物語である」。菊五郎は監修者として演出、脚本も手掛ける。名作だが内容を知らない人にも明快に分かるようにした。

 「プロローグで説明しておけば“八犬伝”がどういうものか、誰が悪者か分かって頭もすっきりするしね。膨大な長編を3時間半にまとめること自体、無謀。でも力を合わせて何かを討ち取るテーマは忠臣蔵にも似ているな」

 菊五郎は八犬士の中で「忠」の“珠”を持つ犬山道節を演じ、貫禄ある存在感を出している。新型コロナウイルスで客足に影響が出ているが、全席解放された初日(3日)は満員で開幕。拍手の大きさも違った。「コロナがまた怪しくなっているが、お客さんもこの状況を待ってくれていたと思うと、うれしかった。スポーツも劇場も、その場の応援あってのもの。やる方も力をもらえるからね」

 昨年、文化勲章を受章。周囲の期待の声は本人にも伝わっている。「大変な勲章をいただいて。お客さんに喜んでもらうために本当にいいもの、おもしろいものを作ろうという気持ちがいつもの数倍働いたよ。頭はずっと八犬伝、八犬伝だらけだったよ」。重厚なシーン、華麗な場面、躍動感あふれる立ち回りと盛りだくさんだ。しかし、菊五郎らベテランの面々は出演シーンが控えめ。これには理由がある。

 「八犬士」に尾上松緑(46)、菊之助らの中堅に中村萬太郎(32)、松緑の長男、尾上左近(15)と若手も起用。彼らのシーンがたっぷりある。「どんどん若い人に出てもらいたいんだ。そんなことを考えて台本つくって。気づいたら自分の出番が少なくなっちまって。後半に出る時『お久しぶりです』ってな感じで。でもとにかく若手に早く育ってほしい、その気持ちが強いんだよ」

 菊五郎は日本俳優協会のトップ(理事長)で、歌舞伎俳優を束ねる立場でもある。延期になっている「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」の時期は多くが気になるところ。「襲名披露は歌舞伎界、それ以外も活気づけるものだと思うから」。コロナさえ沈静化すれば、いつ行われてもおかしくない状況だ。「しかしコロナは一体どうなっていくのかね」。再び猛威をふるい始めた感染症の行方を気にしていた。

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