【プチ鹿島の本音】プロレスで考えた論評の必要性

スポーツ報知
プチ鹿島

 昨年秋、岸田文雄氏が自民党の総裁選に勝ったあと「ノーサイド」と言いました。さらに「全員野球」とも。ラグビーなのか野球なのかどっちなの?

 でも確かに自分の好きなジャンルを通してものごとを考えるのは楽しい。私はここ2年にわたりプロレスライターで大学講師も務める斎藤文彦さんと「プロレス社会学のススメ」という対談を行ってきました。先日書籍化されたのですが、目次には「男女平等」「マイノリティ」「疑わしい情報」「ヘイトクライム」「東京五輪」などが並んでいる。

 一見するとプロレスと関係ないと思われるでしょうが、実はプロレスの歴史を語りながらだとよく分かるテーマばかりなのです。社会の合わせ鏡なのかもしれないと痛感した。対談を進行してくれたのはプロレス・格闘技ライターの堀江ガンツ氏だったのですが、彼から聞いて忘れられないエピソードもあった。世の中が「批評を求めてない気がしますね」というのだ。

 以前にプロレスの試合リポートをあげたら、論評を「批判」と捉えて嫌がるようなフシがあったという。欲しいのは情報だけで批評や論評はいらず、結局マスコミには「いい話」ばかり求められている空気があるのでは?と。話を聞きながら、これは今の世の中全体にも言えることかもしれないと感じた。

 どんなジャンルでも「観客」が考える、語り合うというのはそのジャンルを活発に豊かにするはずだ。しかし「論評=批判」という雰囲気を巧妙につくり上げてしまえば、各ジャンルのプレーヤーは御の字だろう。「いい話」しか流通しなくなったら危ない。なので私はあとがきに論評を止めるなと書いた。いつの間にかプロレスから社会についての話になっていたのです。皆さん、今年もいろいろ語っていきましょう。(時事芸人・プチ鹿島)

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