有村架純、「演じていることさえも感じさせないお芝居」トップ女優のこだわり

スポーツ報知
「2022年は挑戦の年にしたい」と語る有村架純(カメラ・小泉洋樹)

 スポーツ報知芸能面では、注目の人物に迫る新連載「Saturday Story」を毎週土曜に掲載する。第1回は女優の有村架純(28)。犯罪者の更生を手助けする保護司役に初挑戦した主演映画「前科者」(岸善幸監督)が28日に公開される。感情をむき出しにする場面が印象的で「人のために動くと、日常が豊かになって心が揺さぶられる」と語る。デビュー当時から日記をつけることで自分に向き合い、撮影現場では共演者との信頼関係を何より大事にしている。(有野博幸)

 保護司の奮闘を描いた社会派の人間ドラマで主人公の阿川佳代を演じた。どのように人物像をつかんでいったのか。

 「事前に経験者の方に『ハートは熱く、頭は冷静に』とアドバイスをいただきました。保護司と対象者には一定の距離感が大事。原作の漫画を読み込んで、佳代の芯にあるものを探そうと思いました。佳代は自分の存在価値が分からないまま、社会と向き合ってきた。誰かのために動くことで、その劣等感を補ってきた。だからこそ、人の痛みが分かる」

 取っ組み合いをするなど、これまで見せたことのないほど感情をむき出しにする場面が印象的だ。

 「これほど感情を外に出す役は演じたことがないですね。人のために動くと、こんなにも心が震えたり、泣いたり、笑ったり、怒ったり、日常が豊かになって、心が揺さぶられるものなんだと思った。改めてお芝居が好きだと実感したし、好きが更新されるのは本当に幸せなこと」

 人間ドラマでありながら、連続殺人事件が発生するなど、サスペンスの要素も。岸監督はドキュメンタリーの撮影手法を取り入れ、緊迫感を演出した。

 「ほぼテストをやらずに本番なので、一気にギアを引き上げる必要がありました。その分、集中力が高まってゾーンに入る感覚があった。岸監督は『国民的女優だ』と言ってくれましたが、めっそうもありません」

 過去の罪を償い、人生をやり直そうとする工藤誠役の元V6・森田剛(42)とは初共演。絶妙な距離感がリアルだった。

 「森田さんとは、あえて何も話さず撮影に入りました。言葉はないけど、『その方がいい』という共通認識があった。目に見えないつながりがあって、撮影は毎日楽しかったですね」

 昨年は「るろうに剣心 最終章 The Final」(興収43・4億円)、「花束みたいな恋をした」(同38・1億円)など大ヒット映画や日テレ系ドラマ「コントが始まる」などの話題作に出演するなど、大活躍だった。

 「1年前は『花束』もこんなに多くの方に届くとは思ってなくて、タイミングと運に恵まれたと思います」

 2010年に女優デビューして、今年で13年目。どのような手応えを感じているのか。

 「デビュー当時は自分を表現するのが苦手だった。学生時代って自分自身のことを知ろうとは思わないじゃないですか。流れに身を任せて生きてきた。でも、この仕事を始めてから『自分の思っていることって何だろう』と向き合う時間が増えて、自分の言葉を持てるようになりました」

 心の声に耳を傾け、それを表現できるようになったということか。そのために何を実践してきたのか。

 「日々の反省点を日記につけるようにしました。実際に書いて言葉にすることで、自分について理解を深めることができた。今でも、たまに日記をつけていますし、ページをめくって振り返ることもあります」

 自然体の演技が持ち味。女優としてのこだわりは。

 「そこにいて『自然でしょ』という芝居をするのは違う。ちゃんと自然に感じられるお芝居をすることが大事。つまり、演じていることさえも感じさせないお芝居。共演者との距離感も大事。役として表面的に近づくだけじゃなく、本人と心の距離を近づける。そのために、まず相手を信頼する。性別や年齢に関係なく、誰に対しても、ちゃんと向き合いたいと最近、特に思うようになりました」

 ここ2年ほど、コロナ禍で思うように仕事ができない時間もあったはず。どのように心のバランスを保っているのか。

 「基本的に家が好きなので、ステイホームは苦にならないですね。友人は長い付き合いの人が多いので、会いたいと思ったら、すぐ気軽に連絡するし、テレビ電話で話すことも。家ではパロサントという香木、お香みたいなものをたいて、匂いに包まれています。それが癒やしの時間です」

 有村のインタビューは15年の映画「ビリギャル」公開時、16年の映画「夏美のホタル」公開時に続き、3度目。謙虚な姿勢は変わらないが、言葉に迷いがなく、より明瞭に感情を表現しているように感じた。表情にもどこか余裕が感じられ、「自分の言葉が持てるようになった」という意味が分かった。

 ○…「前科者」は「ビッグコミックオリジナル」(小学館)の漫画が原作。昨年11月20日から映画の前段としてWOWOWでドラマ「前科者―新米保護司・阿川佳代―」(全6話)が放送された。新米保護司だった佳代(有村)の初々しい姿が描かれ、“前科者”として石橋静河(27)、大東駿介(35)、古川琴音(25)が登場する。Amazon Prime Videoでも配信され、映画はドラマの3年後という設定になっている。

 ◆有村 架純(ありむら・かすみ)1993年2月13日、兵庫県伊丹市生まれ。28歳。2010年、ドラマ「ハガネの女」でデビュー。13年前期のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で注目され、17年前期の「ひよっこ」でヒロインを務めた。15年の映画「ストロボ・エッジ」「ビリギャル」でブルーリボン賞主演女優賞。23年のNHK大河ドラマ「どうする家康」を控える。160センチ。血液型B。

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