日本ハムの新人合同自主トレが9日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で始まった。ビッグボス・新庄剛志監督(49)も視察するなか、全13選手が参加。緊張感漂う始動となったが、ドラフト1位・達孝太投手(17)=天理高=と同7位・松浦慶斗投手(18)=大阪桐蔭高=がキャッチボールで驚きの“自己流調整”を披露した。
驚きの光景だった。あたたかい日差しが差し込む鎌ケ谷のグラウンド。一斉にキャッチボールを始めた新人たちにビッグボスが鋭い視線を…。いや、よく見ると2人いない。高卒ルーキーの投手2人、達と松浦がキャッチボールをしていなかった。何が起きたのか―。そう心配していると、達が姿を現した。
ドラ1右腕は他の新人がキャッチボールを終えた後、ゆっくりと動き出し、キャッチボールを開始。実は「胸郭と胸椎がいつもより少しだけ屈曲しにくかった」と上半身の硬さに違和感を覚え、ほぐしてからの参加を自ら申し出た。書籍を購入し解剖学を勉強するほどの体博士は、その日の状態に合わせて複数のバリエーションのストレッチを行い、「特に周りの目は気にせずやるべきことをやりました」と言い切った。
一方、松浦は唯一キャッチボールを回避。前夜は緊張で寝つけなかったという最速150キロ左腕は「まずは体を強くしたい。まだ納得していない部分があったのでトレーナーさんとも相談した。キャンプで投げ込む量も増えるので」と焦る気持ちを抑えた。
新庄監督が見守るなか、少しでもアピールしたい初日に、今後を見据えてペースを守った2人。達についてビッグボスは「芯を持ってやっていたよ」と理解を示す一方で「キャッチボールの前にもっと柔軟しとけよ、とも思ったけどね」。これに対し達は「全体練習だと自分に合っていないアップもある。少し崩れた部分をキャッチボールの直前でやると、さらに効果的というか…」などと説明した。
それでも緊張の初日を振り返り「けがなく無事終わって良かった」と胸をなで下ろし、「まずはけがをしないことが一番大切。その中でどれだけ攻めて、追い込めるか。明日からも頑張っていきたい」とやる気に満ちた表情をみせた達。松浦も「自分のペースでやらせてもらってすごく感謝している。その分結果も出さないと」と一層気合を入れた。(堀内 啓太)