新型コロナ感染爆発!メジャー労使合意遅れで大ピンチに直面する

 お年玉は届かなかった。ロックアウトは解除されない。このまま、スプリングトレーニングへのカウントダウンが始まりそうな状況だ。新たな包括的労使協定の締結に向けての動きがみえてこない。

 最後となった昨年12月1日の労使交渉は冷ややかなものだったらしい。午後から再開された交渉は10分足らずで決裂。それを最後に経営者側はロックアウトに突入した。年が明けてから現地メディアから漏れ伝わってきた情報だ。

 決裂後も2度の交渉の場を持ったようだが、経営者側は交渉の中核である選手の最低年俸、などの待遇や、年俸調停権などの制度改正などについての課題以外での重要とは思えない案件をテーブルに乗せてきたという。

 選手会側は当然反発。その反応をみて経営者側が中核の問題についてプロポーザルの検討、作成に入っているとの情報はあるが、ロックアウトで主導権を握った経営者側の動きは極めて鈍い。今度こそ、選手の総年俸に上限をつける、いわゆるサラリーキャップ制度の導入に向けての不退転の決意が伝わる。

 やっとホリディシーズンが終わったところなので選手たちの反応は鈍いが、いずれ全米のここそこから激しい声が上がってくるだろう。

 残念ながら、明るくない年明け。この状況をさらに暗くするのがデルタ株からオミクロン株に置き換わりつつある新型コロナの感染爆発だ。1日に感染者が100万人を超えるなど想像を絶する状況だ。アメリカでも重症者が少ないことから社会的制約は最小限にとどめている。従って感染拡大はしばらく止まらないだろう。

 こんなときこそ、労使協調が求められると思うのだが、当事者にはベースボールファンの「プレーボール」の声は届きそうにない。

 もっとも、来るべきシーズンに向けて準備を進めていないわけではない。年末からコーチの発表が相次いでいるし、ボブ・メルビン監督がパドレスに去ったアスレチックスも数いる候補者から三塁コーチなどで6年間に渡ってチームをみてきたマーク・コッツェイが指揮を執ることになった。

 一連の人事往来で興味深かったのは、このコッツェイともチームメートだったエリック・チャベスだ。12月にはヤンキースから打撃コーチ補佐就任の発表があったにも関わらず、年が明けた途端、現地メディアはメッツの打撃コーチ就任を報じた。まだ正式に発表されてはいないが契約上の問題がなければスムーズに事が運ぶだろう。

 チャベスはAロッドの控えでヤンキースに在籍したこともあり、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMと旧知の間柄であり、そのGMの補佐を務めていたメッツのビリー・エプラーGMとはさらに親しい。彼がエンゼルスのGMに就任したときは呼ばれてフロントスタッフの一員に名を連ねた。キャッシュマンGMとエプラーGMは師弟関係といえるほど固い絆で結ばれている。トレードなどでヤンキースとメッツに在籍する選手は珍しくなくなったが、こういうケースは超レア。過去に例はないかもしれない。チャベスは6年連続ゴールドグラブの名三塁手でもあったスラッガー。何度か独自取材をさせてもらったが明るいナイスガイ。バック・ショウォルター新監督の良きスタッフになるに違いない。

 一見、メッツのコーチ強奪事件?と取られかねない一件だが、移籍?は認められるだろう。それにしても地元を二分し、緊張感のあるライバル関係を築いてきたチームがフレンドリーライバルになるなんてわからないもの。こんな事態になっても、球界には興味深いことが起こっているのだ。

キャンプインはおよそ1か月先。1日でも早く合意に向けてアクションを起こしてもらいたい。そうすれば球春に相応しいトピックを楽しむことができる。このまま対立を続けていたらファン離れどころか、一昨年を超える新型コロナの脅威の前に、ビジネスそのものものが大ピンチにさらされることになる。必要なのは労使協調、一丸となって対策を講じるべきだろう。

 出村義和(スポーツジャーナリスト)

出村 義和
 (でむら・よしかず)1971年、ドジャースタジアムでMLB初観戦。ベースボールマガジン社でアメリカ総局勤務、週刊ベースボール編集長などを務める。独立後、ニューヨークをフランチャイズに19年間MLBを中心に多岐にわたるジャンルで取材、執筆を行う。帰国後、JスポーツでMLB中継の解説者も務める。

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