「声援がある中でプロレスがしたい」東京D大会の主役オカダ・カズチカの涙の訴えが紡ぐ50周年・新日の未来

スポーツ報知
5日のメインイベントでIWGP世界ヘビー級王座初防衛を果たした後、リング上で涙を流したオカダ・カズチカ(カメラ・今成 良輔)

 プロレス界最大の祭典・東京ドーム大会にしては寂しい観客6379人の視線を一身に集めたスーパースターが涙で声を震わせながら言った。

 「声援がある中でプロレスがしたい」―。

 4、5日に開催された新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 16 in 東京ドーム」大会。2日連続でメインイベントのリングに立ち、1・4は4度目の防衛を目指した昨年度のプロレス大賞MVP・鷹木信悟(39)を撃破し、IWGP世界へビーのベルトを初戴冠。1・5では、最強外国人・ウィル・オスプレイ(28)との32分52秒の大熱戦を制し、初防衛を果たしたのが、新日にカネの雨を降らせる「レインメーカー」オカダ・カズチカ(34)だった。

 1・4での快勝後にマイクを持つと、「まだまだコロナという大きな敵と闘っていますけど、何度倒れても僕らレスラーは闘っていきますので、コロナにも勝ちましょう。何度も言ってますけど、来年は東京ドームを満員にして、50周年の節目にします」と、今年3月に創設50周年を迎える日本最大、最強の団体のトップとして宣言したオカダが、その本音をすべて吐露したのが、1・5の激闘後のリング上だった。

 感染症対策として声を出しての応援が禁じられた観客の大きな拍手を浴びると、目頭をぬぐい、「声が出せない中、応援してもらって、でも、その熱い応援はしっかりと選手に届いていて、熱い闘いで返せたかと思います。ありがとうございました」と声を絞り出した。

 さらに「まだまだ油断できないけど、俺はやっぱり声援がある中でプロレスがしたい」と声を震わせて続けると、「もう、無観客に戻りたくないですし、しっかりと、みんなの前で闘っていきます。全選手、熱い闘いをしていきますので、これからも新日をよろしくお願いします」と、感動のマイクを締めくくった。

 ほんの2年前に4万8人を動員した1・4も今年は感染症対策のための観客数の上限制限もあり、史上最低の1万2047人。1・5も昨年の7801人を下回る6379人と、新型コロナ禍の中、ドル箱だった東京ドーム大会でも動員に苦戦する新日。そんな団体の現状を一レスラーとして憂うオカダの涙の訴えに、私も観客同様、大きく心を揺さぶられた。

 振り返れば、この男は常に観客の目線を意識してきた。4万8人動員の2年前の1・4でもIWGPヘビー級王者(当時)として飯伏幸太(39)の挑戦を退け、防衛を果たした後、リングの中央で涙をぬぐい、「超満員にならなかった…」と外野席の一部にあった空席を見つめてつぶやいた。

 バックステージでも「10月からずっと満員にすると言ってきて、かなわなかったのが悔しい。笑いたい人は笑ってもいいし、バカにしてもらってもかまわない」と言い切った。

 メキシコでレスラー修業をしていた10代の頃、文房具店の店先にマットを敷いて、数人の観客の前で闘った経験も持つ男は誰よりも観客数に敏感だ。17年8月に単独インタビューした際も「一生懸命、命がけで闘っても地球上で10人しか見てなかったら、たまらないじゃないですか」と真剣そのものの表情で話していたことを覚えている。

 そんなオカダは8日、横浜アリーナで行われる新日VSプロレスリング・ノア対抗戦で棚橋弘至(45)と組んで、レジェンド・武藤敬司(59)、清宮海斗(25)組と闘う。誰よりも「魅せる」ことを意識してきた新日出身のレジェンド・武藤、「ノアの未来」清宮と初対決のオカダがどんな化学反応を見せるのかにプロレスファンすべてが注目している。

 1・4、1・5、そして、1・8と続く大型大会で幕を開けた新日50周年のメモリアルイヤー。1・5の涙のマイクパフォーマンスで「50年先まで、新日がオカダで食っていけるように頑張っていきます。と言うわけで、新日にカネの雨が降るぞー!」と叫んだレインメーカーの闘いから、私は決して目を離さない。いや、離せるわけがない。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆オカダ・カズチカ 本名・岡田和睦。1987年11月8日、愛知・安城市生まれ。34歳。中学卒業後、陸上の特待生での高校進学を勧められるも闘龍門に入門。04年8月、メキシコでデビュー。07年8月に新日本プロレスに移籍。10年1月、米団体・TNAへの無期限武者修行に出発。11年12月に「レインメーカー」として凱旋帰国。12年2月、棚橋弘至の持つIWGPヘビー級王座に初挑戦。レインメーカーで勝利を飾り、中邑真輔に次ぐ史上2番目の若さとなる24歳3か月で王座に。同王座連続防衛記録12、最長保持記録も持つ。12年、14年、21年にはG1クライマックス優勝。191センチ、107キロ。妻は声優、歌手の三森すずこ。

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