今冬もJリーグ移籍市場のトレンドは「J2からの個人昇格」 J1クラブスカウトが明かす3つの理由

スポーツ報知
山形からC大阪を経てベルギー1部オーステンデに移籍する坂元達裕

 昨冬に続き、今回の国内移籍市場でもトレンドとなっているのが「J2からの個人昇格」。記者が担当しているC大阪も長崎のDF毎熊晟矢、岡山のMF上門(うえじょう)知樹、山形のMF中原輝を完全移籍で獲得している。毎熊は大卒3年目で、上門と中原も20代前半と若くしてJ1へと上り詰める流れも特徴と言える。

 近年、個人昇格から最もブレークした選手といえば日本代表FW古橋亨梧だろう。中大から2017年に当時J2の岐阜に加入。翌年夏に神戸へ引き抜かれると、19年シーズンから3年連続2ケタ得点と大暴れし、昨夏にスコットランド1部セルティックへと移籍を果たした。

 C大阪では、東洋大を経て20年に山形から加わったMF坂元達裕は得意の「切り返し」で注目を浴び、昨年A代表に初選出されるまでに成長。1月5日にベルギー1部オーステンデへの期限付き移籍が発表されたばかりだ。昨季の天皇杯を制した浦和もMF小泉佳穂は青学大から琉球、MF明本考浩は国士舘大から栃木と大卒→J2ルートで浦和へ移籍し、1年目から主力として存在感を発揮している。17年から4年間、徳島で指揮を執った経験を持つロドリゲス監督だからこその抜てきでもある。

 こうした傾向について、J1クラブのあるスカウトは3つの理由を挙げた。

〈1〉実戦経験を積んだことでの成長度

 同スカウトは「例えば大卒1年目からJ1でバリバリできる力がなくてもJ2なら試合に出られる。そこで1、2年活躍した選手はやっぱり伸びるし(戦力として)計算できる。逆にその間、試合に出られなければパフォーマンスは落ちてしまう」と指摘。また「体力面とかJリーグのスピードにも慣れてくるし、目もギラギラしている。J2で自信をつけて、上でもやってやろうという意気込みを感じる」とメリットを主張する。新卒選手を獲得する際、リストアップから正式オファーに至らない場合でも、それ以降もスカウティングを継続。J2で花開いた注目株を逃さずチェックする作業は欠かさないという。

〈2〉困難となった外国籍選手補強

 一昨年から続く新型コロナウイルスの影響により、外国籍選手の獲得はハードルが高くなった。海外への移動が制限されることで十分に視察できず、新助っ人が入国する際も隔離期間が必要となり、チームへの合流は遅れた。この冬も状況改善の兆しは見えないことから「今は簡単に海外には行けない。助っ人で対応していた部分を国内の選手に頼らないといけなくなっている」。

〈3〉低予算

 コロナ禍で各クラブの収入が減り、チーム強化にかけられる予算も少なくなっている事情も無関係ではない。「(獲得の際に)違約金が発生してもJ1の選手に比べれば安い」と話すように、比較的低予算で戦力を補強できる点も個人昇格を活発にさせている要因とみられる。

 現在下部カテゴリーに所属するJリーガーにとっても、古橋や坂元のようにJ2から欧州移籍という壮大なステップアップを果たした例は大きなモチベーションとなるに違いない。今冬の個人昇格組が22年のJ1でどんな輝きを放つか、注目したい。(記者コラム・種村 亮)

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