箱根駅伝圧勝の青学大を前回ブレーキのOB・竹石尚人さんが祝福「タケイシしないで良かった」

スポーツ報知
現在、静岡朝日テレビに勤務する竹石尚人さん(写真提供・静岡朝日テレビ)

 第98回箱根駅伝(2、3日)で、青学大は往復路を制し、総合新記録(10時間43分42秒)の完全優勝で2年ぶり6度目の栄冠に輝いた。青学大ランナーを最も熱く深く応援していたひとりが、前回「5年生」として5区を走り、17位とブレーキした竹石尚人さん(24)だ。現在、静岡朝日テレビでディレクターとしてスポーツに関わっている竹石さんは、スポーツ報知のインタビュー取材に応じ、恩師の原晋監督(54)、主将の飯田貴之(4年)ら後輩たちを心から祝福した。また、箱根駅伝の思い出、現在の仕事に対する思いなども明かした。(取材・構成=竹内 達朗)

 第98回箱根駅伝で、青学大は2位の順大に10分51秒差をつけて圧勝した。2位との差は平成以降では最大。歴史的な勝利となった。

 「本当に強かったですね。おめでとうございます。勝因のひとつは最上級生の存在でしょう。主将の飯田貴之、副将の高橋勇輝が中心になり、4年生がチームをまとめたと思います。湯原慶吾も昨年の箱根駅伝(3区14位)で苦しんだ後、春先まで調子が上がっていないと聞きましたが、夏以降、調子を上げて登録メンバーに入りました。よく戻ってきました」

 竹石さんは、後輩たちの快挙を祝福。特に4年生の健闘をたたえた。登録メンバーから外れた4年生に対しても最大限の賛辞を送る。

 「登録メンバーに入れなかったけど、市川唯人、能島翼、渡辺大地もチームに良い影響を与えたはずです。僕と同じように留年した市川は5年間、よく頑張りました。能島は競技人生最後の5000メートル(12月5日、日体大長距離競技会)で人生初の13分台(13分57秒47)を出しました。渡辺は登録メンバーから外れた選手が走る1万メートル学内記録会、通称『箱根駅伝0区』で、やはり、人生初の28分台(28分56秒9)をマークしたと聞きました。2人とも見事だと思います」

 現在、静岡朝日テレビでディレクターとしてスポーツに関わっている竹石さんにとって、4年生の中でも静岡県出身の渡辺は特に気になる存在だ。卒業後、郷里の静岡県内の町役場に就職する渡辺が競技引退レースで見せた魂の走りは、竹石さんの心を打った。

 「渡辺とは、よく電話で連絡しています。彼と話していて、僕も久々に走りたくなりました。春から静岡で市民ランナーとして一緒に走ろう、と話しています」

 青学大は、第98回大会では箱根路を席巻したが、1年前は箱根路で苦しんだ。3区を走る予定だったエースの神林勇太主将(現サッポロビール勤務)が大会直前に故障したことが響き、4区終了時点で10位とシード権(10位以内)争いに巻き込まれていた。そして、山上りの5区。「5年生」竹石さんが区間17位とブレーキし、往路を12位で終えた。青学大は意地の復路優勝を果たしたが、総合4位。2年連続6度目の優勝を逃した。

 竹石さんは箱根路で栄光も挫折も味わった。1年時は出走せず優勝。2年時は出走(5区5位)して優勝。3年時は出走(5区13位)して優勝ならず(2位)。4年時は故障のため、出走せず優勝。熟慮の結果、留年し、5年目もチームに残る決断をした。5年目のシーズン序盤は故障が長びき、出遅れたが、夏合宿以降、ほぼ完璧に練習メニューをこなした。20年10月末には1万メートルで自己ベストを32秒16も更新する28分50秒63をマーク。原監督は自信を持って竹石さんを5区に送り込んだが、まさかの結果に終わった。

 「最も思い出深い箱根駅伝は優勝した2年と4年の時、と言いたいところですが、やはり、5年目ですね。結果は悔いが残るし、本当にチームに申し訳なく思います。それでも、最後までやり切ったことに悔いはありません。先輩、同期、後輩、原監督、スタッフのお陰で充実した5年間を過ごすことができました。特に原監督には迷惑をかけてしまいましたが、たくさんのことを教わり、感謝しています」

 今回、青学大が大快走したことで、前回の青学大の苦戦、特に竹石さんのブレーキがクローズアップされた。

 「一部のSNS上で、ブレーキすることを『タケイシする』と表現されていると、知人から聞きました。周囲では僕のことを心配してくれる人もいますけど、僕は気にしていません。むしろ、名前を思い出してもらってうれしいですよ。前向きに考えています。これも、青学大で原監督に教わったことだと思います。今回、青学大の後輩が『タケイシしない』で良かったです」

 社会人として、テレビマンとして、日々、精神的に成長している竹石さんは快活に笑った。実は、竹石さんは第98回箱根駅伝をライブでテレビ観戦していない。正月早々、自らの仕事に集中していたからだ。

 「2日は藤枝東高校サッカー部、3日は東海大静岡翔洋高サッカー部の初蹴りの取材をしていました。家に帰った後、録画で箱根駅伝を見ました。青学大の後輩たちを応援しながら、テレビ局の社員目線で、多くの発見や気づきをしながら観戦しました」

 竹石さんの主な担当番組のひとつは、静岡県内のスポーツを深く掘り下げる「スポーツパラダイス」だ。「箱根から世界へ」を大会理念とする箱根駅伝で鍛えられた竹石さんは「静岡から世界へ」を目指すアスリートに寄り添って仕事を続けるつもりだ。

 ◆竹石 尚人(たけいし・なおと)1997年7月1日、大分・九重町生まれ。24歳。九重町立南山田中2年から陸上を始める。3年時に1500メートルで県大会3位。鶴崎工高3年時に全国高校駅伝1区32位。2016年、青学大総合文化政策学部に入学。学生3大駅伝は6回出場。2年時の箱根駅伝、3年時の出雲駅伝で優勝メンバーに名を連ねた。自己ベストは5000メートル14分5秒40、1万メートル28分50秒63。21年3月に卒業し、4月に静岡朝日テレビに入社。身長174センチ、体重は学生時代が54キロ、現在は少し増えて57キロ。

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