斎藤佑樹氏、箱根駅伝観戦記 青学大・原監督の「スマイル!」は信頼関係があるからこそ心に響く

スポーツ報知
ゴールする10区・中倉(手前)を迎える青学大の選手たち(カメラ・山崎 賢人)

◆第98回東京箱根間往復大学駅伝競走復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)

 昨季限りで現役引退した元日本ハム投手の斎藤佑樹氏(33)が、スポーツ報知に箱根駅伝の観戦記を寄せた。先月、自身の会社「株式会社斎藤佑樹」を設立し、第二の人生へ第一歩を刻んだばかり。早大時代の4年間、エースとして大学スポーツを沸かせた男の目に、今回の箱根はどのように映ったのか。

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 まずは1区を走った中大の吉居選手にお礼を言いたいと思います。5キロ過ぎに先頭集団から早々に抜け出して、勝負をかけた。彼の攻める姿勢は、第二の人生を始める自分にとって、大事なポイントになると感じました。覚悟を決めて、勇気を持って一気に行く。挑戦を恐れない。吉居選手の走りから学びました。自分の中でも彼がMVPです。

 往路では青学大の1年生、太田選手と若林選手の走りが印象的でした。怖いものなしで突っ走る。ゴールしか見ていないように僕の目には映り、その姿に気持ちよさを感じました。ちょっとだけ、自分が大学1年の頃を思い出しました。いきなり春のリーグ戦で優勝し、ベストナインに選ばれた。6月には大学日本一でMVPになった。今だから明かしますが、僕は調子に乗って「大学野球ってこんなに簡単に優勝していいのかな?」と思っていた部分があります。

 でも本当は自分だけの力じゃなかった。支えてくれる上級生や仲間がいた。高校を卒業して間もない1年生と、大学を卒業する4年生が同じ目標に向かって頑張るのが、大学スポーツの面白さ。箱根ではやはり4年生の走りに目を奪われます。これが最後だ、力を振り絞って絶対にタスキをつなぐんだという強い思いが、画面越しに伝わってくる。2人のルーキーが心身をどう鍛えて4年生になっていくのかも、楽しみです。

 青学大・原監督の「声」も興味深かった。めちゃくちゃしんどそうな走者に「スマイル! スマイル!」と呼びかける。状態的に笑えるわけないのに、選手の足が不思議と軽くなるように見えました。駒大・大八木監督の言葉も愛情にあふれていて、聞き入りました。極限に追い込まれた時、指揮官の言葉は元気の源になります。普段の厳しい練習をともに乗り越えることで、固い信頼関係があるからこそ、ここ一番で心に響く言葉になるのだと思いました。

 大会を通じて感じたのは、98回という伝統の力。僕も高校、大学と結果を出すために夢中に練習していて、なかなか気づきませんでしたが、選手が輝く舞台は、大勢の関係者が必死に汗を流して準備し、運営することで成り立っている。ファンはもちろん、スポンサーにメディアと支えてくれる方々がいるから、大正時代から令和に至るまで、箱根駅伝はずっと続いている。僕ももっと勉強して、視野を広げ、支える側でスポーツの発展をお手伝いしていきたいと考えています。

 最後に母校・早稲田のみなさんへ。シード圏外にはなりましたが、悔しさを胸に、ここからはい上がる姿を見たい。来年、強い早稲田が箱根路に帰ってくる瞬間を、心待ちにしています。

 ◆斎藤 佑樹(さいとう・ゆうき)1988年6月6日、群馬・太田市生まれ。33歳。早実3年時に春夏連続で甲子園出場。夏は決勝で駒大苫小牧との延長15回引き分け再試合を制して優勝。早大では東京六大学リーグ通算31勝15敗。リーグ史上6人目の30勝&300奪三振を達成。2010年ドラフト1位で日本ハム入団。12年に西武戦(札幌D)で開幕投手を務め、完投勝利。プロ通算89試合に登板し15勝26敗、防御率4.34。昨年12月に「株式会社斎藤佑樹」を設立した。

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