箱根を走った漫画家・高橋しんさんが切り取った中大・吉居大和&駒大・田沢廉の表情

スポーツ報知
高橋しんさんのイラスト

◆第98回東京箱根間往復大学駅伝競走復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)

 栄光も歓喜も、全て苦しみから生まれる―。1987年の箱根駅伝で山梨学院大のアンカー10区を走った漫画家・高橋しんさん(54)は3日、今大会を通して最も心を動かされたランナーを描いたイラストをスポーツ報知に寄せた。往路1区で区間新記録を樹立した中大・吉居大和と2区で区間賞を獲得した駒大・田沢廉。最速の男たちが浮かべる苦悶(くもん)の表情には、箱根への思いが込められている。(構成・北野 新太)

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 なぜこんなに追い込めるのだろう、なぜこんなに自分を苦しめられるのだろう―。1区と2区で独走した吉居選手と田沢選手がラスト近くで見せた表情を見つめながら、ずっと考えていました。で、描きたいと思ったんです。

 今回、箱根路を走った210人の学生たちはみんな強い選手たちですけど、多くの人は吉居選手や田沢選手が達した領域にはたどり着けなかった。パフォーマンスとして、記録として、ということはもちろんですけど、あれほどストイックに極限まで自分を苦しめることなんてできないという意味です。

 35年前、私も彼らが達した場所までたどり着けなかった一人なので、どこか分かるような気がするんです。彼らは箱根駅伝の先を、世界に挑むことを見据えて走っているからでしょう。

 中大は6位、駒大は3位。駅伝はチーム競技なので、優勝した青学大以外は「負けた」ということになるのでしょうけど、僕には吉居選手と田沢選手が敗者だとはどうしても思えません。あれだけの苦しみを自ら引き受ける選手がいること、そのような選手の存在がチームに与えることに、駅伝というスポーツの本質の部分を感じます。

 笑顔で走って、走り終えたらかわいい少年たちのようにも見える青学大の選手たちも、とてつもない苦しみを乗り越えて、あの場所にいる。苦しいことは嫌なことではなく、最終的には楽しいこと、ワクワクする過程なんだということが伝わります。

 あ、イラストで田沢選手がちょっとだけ前に出ていることは気にしないで下さい。横に並んで激しく競り合っているシーンとして描きました。田沢選手が3年生で先輩なので手前に描いてみただけです(笑い)。2人は来年も走ることになるでしょうから、今から楽しみですね。それから先、どんな選手になっていくのかも。(談)

 ◆高橋 しん(たかはし・しん)1967年9月8日、北海道士別市生まれ。54歳。士別高から山梨学院大に進学。1年時に箱根駅伝10区を走り、区間11位に。全日本大学駅伝にも出場。代表作に「いいひと。」「最終兵器彼女」など。2016~18年、初めて駅伝をテーマにした「かなたかける」を発表。現在は「MELODY」で「髪を切りに来ました。」を連載中。今春から「ビッグコミックスピリッツ」で再び駅伝を描く新連載「駅伝男子プロジェクト」が始まる。

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