大泉洋の“暴走”を笑いに変えた川口春奈の瞬発力 素直な反応がアーティストの素顔引き出す

スポーツ報知
紅白の司会を務めた川口春奈

 2年ぶりに有観客で開催された昨年大みそかのNHK総合「第72回紅白歌合戦」は、過去最低の平均視聴率を記録した。そんな中、難しい立ち回りを担いながらも奮闘したのが、司会を務めた女優の川口春奈だ。

 川口と言えば、大河ドラマ「麒麟がくる」で薬物事件で降板した沢尻エリカの代役として織田信長(染谷将太)の妻・帰蝶を演じた。初の時代劇かつ大河初挑戦ながら10話分の撮り直しもこなし、女優としての評価を高めた。“NHKの救世主”が紅白司会として再び同局に戻ってくることに安心感を感じた視聴者も多かったのでは。

 それでも、川口にのしかかっていた期待は大きなものだった。これまで「紅組司会」「白組司会」「総合司会」と役割を分けていたが、今回から呼称を「司会」に統一。同局は「すべての歌手・アーティストを応援する存在」と説明したが、ロールモデルがいないだけに立ち回りは川口ら司会者側に委ねられた。

 川口はTBS系音楽番組「ドリームデュエット」(14年)で、4年連続で紅白の総合司会を務めたウッチャンナンチャン・内村光良と司会を務めたが、場数は踏んでいない。所属する大手芸能事務所「研音」の所属タレントが紅白の司会を担当するのは、1991年の浅野ゆう子以来30年ぶり。紅白の形態はもちろん、当時から同社のスタッフは様変わりしているため、放送前に関係者から川口のフォロー体制に不安視する声も聞こえてきた。

 そんな不安の声をはねのけて、本番の大舞台で川口が光を放った。歌い終わったアーティストの感想と川口の言葉が重なってしまう場面もあったが、失敗を引きずらない。大泉洋が大阪桐蔭高校吹奏楽部の生徒に質問したところ、川口が「台本にないことはやめてください」とピシャリ。台本にないセリフにとっさに答えた生徒のすごさを広め、大泉の“暴走”を笑いにする機転の利いた一言だった。

 例えば、藤井風が紅白史上初の実家から出演したかと思いきや、サプライズで会場の国際フォーラムから歌唱した時のこと。藤井の力強い歌唱と優しいピアノの音色に包まれ、呆然とする会場だったが、川口が「かっこいい!」と興奮冷めない高い声で本音をもらすと、藤井が「よう言いますわ」と照れた表情を腕で隠すしぐさをした。全てのアーティストを応援する川口の素直な反応が、紅白のステージをかっさらった24歳の鬼才のかわいらしい素顔を引き出した。

 「SDGs」をPRする企画では、故郷・五島列島で自ら魚をさばいた。その姿を見て、20年春に川口を取材した時を思いだした。日本テレビ系スポーツ番組「Going!Sports&News」で、キャスターに初挑戦する意気込みを聞いた。「新参者ですが、勉強しながらスポーツの面白さを伝えていけたら」と記者の目を真っすぐ見ながら話し、番組では卓球・伊藤美誠のサーブを自ら受けるなど体当たりで取材をこなした。紅白でもNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の放送が控えるなど多忙を縫い、自ら勉強し、体験。その果敢な姿勢がより多くの視聴者の記憶に刻まれただろう。

 初めてづくしの紅白司会。失敗をしながらも予定外の出来事にも柔軟に対応、体当たりで経験し、素直な反応で盛り上げる。自身のカラーを出しながら堂々とした立ち振る舞いをした川口のさらなる飛躍を期待したい。(記者コラム)

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