【箱根駅伝】31歳「中学体育教師」ランナー今井隆生、4区力走

駿河台大の31歳「中学校体育教師」今井隆生
駿河台大の31歳「中学校体育教師」今井隆生

◆報知新聞社後援 第98回東京箱根間往復大学駅伝競走往路 (2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ)

 初出場の駿河台大の31歳「中学体育教師」ランナー今井隆生(4年)が4区を18位でスタートした。

 今井は今大会の注目選手のひとり。埼玉県の中学校体育教師だった今井は20年4月、教員の「自己啓発等休業」制度を利用し、駿河台大の心理学部3年に編入学した。「教師として力不足を実感することがあり、今まで勉強していなかった心理学を学んで、もっと生徒に寄り添える先生になりたいと思いました」と編入学の理由を明かす。同時に、もうひとつ壮大な挑戦を決めた。

 今井は東京・大泉高時代は陸上部に所属し、箱根駅伝出場を目標としていたが、全国レベルに届かず、日体大に入学後はトライアスロンに転向した。「日体大時代はトライアスロンに全力を尽くしていたので、箱根駅伝への未練は全くありませんでした。4年生だった2013年には日体大が箱根駅伝に30年ぶりに勝った。クラスメートに優勝メンバーもいたし、素直にうれしかった」と振り返る。卒業後、実業団でトライアスロン選手として活動。走力を磨くために参加した陸上の練習会で徳本監督と知り合い、アドバイスを受けるようになった。

 2016年にトライアスロン選手として現役を引退し、埼玉県の教員に。体育教師、陸上部顧問を務めながら市民ランナーとして多くの大会に参加した。勤務先の中学校が駿河台大と近かったため、休日は生徒を指導した後、駿河台大で練習を重ねた。いつしか、箱根駅伝出場という夢を現実的に考えるようになった。

 「駿河台大で心理学を勉強して、箱根駅伝にも一緒に出場しようぜ」

 徳本監督の熱いエールが最終的に今井の背中を押し、かつて封印した夢に向かうことを決断した。

 駿河台大では不思議な再会もあった。

 6年前、埼玉・越生町の越生中学校。今井は体育教師として駅伝チームを指導していた。各部の俊足が集まったチームの中に当時バスケットボール部3年で、現在は同じ駿河台大駅伝部に所属する永井竜二(3年)がいた。年齢差はちょうど10歳。教師と生徒だった2人はチームメートとして同じ夢を追い続けた。

 突如、駿河台大駅伝部に加わった今井を永井は驚きを持って迎えた。「中学生の時、体育の授業は今井先生に教わっていた。今井先生と呼べばいいのか、今井さんと呼べばいいのか…最初は戸惑いがありました」と正直に明かす。しかし、一緒に走る日々が続くと「先生と生徒」の意識は薄れた。「よく思い出せば、中学時代も今井さんは生徒と一緒に走っていました」と永井は笑う。他のチームメートと同様に「今井さん」と呼ぶことにも違和感はなくなった。

 今井は、教え子との不思議な再会をうれしそうに語る。「中学生だった永井と大学でチームメートになるなんて想像できなかったけど、楽しい。ショボい姿は見せたくないし、絶対に負けたくないですね」

 その元教え子で、現チームメートの永井は5区を担う。小田原中継所で、おそらく箱根駅伝史上初となる「教師と教え子」の歴史的なタスキリレーが実現する。

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