BiSHに放送禁止用語は必要なのか…紅白歌合戦での圧巻のパフォーマンスとリハでの下ネタ連呼の寒さ

スポーツ報知
昨年大みそかのNHK紅白歌合戦で「プロミスザスター」を熱唱したBiSHの6人(カメラ・小泉 洋樹)

 その時、2021年大みそかの午後9時25分。23年での解散が決まっている6人組女性アーティストが、まさに燃え尽きんばかりの熱唱と渾身のダンスで「第72回NHK紅白歌合戦」の大舞台を彩ってみせた。

 代名詞的ヒット曲「プロミスザスター」を引っさげて初出場を飾ったBiSH。歌う直前、司会の大泉洋を「BiSHと言えば、下ネタを言ったり、型破りな活動が人気。出場会見での一言も大人たちをざわつかせましたけれども…」と危惧させ、川口春奈には「ああいうめちゃくちゃな感じが人気ですが、楽曲、パフォーマンスはものすごいかっこいいですから」とフォローされて送り出された6人は、緊張気味の表情で2年ぶりの有観客となった東京国際フォーラムの舞台に立った。

 約4分間のパフォーマンスはまさに圧巻の一言。アイナ・ジ・エンドの唯一無二のボーカルから始まる「プロミス―」を堂々、歌い上げ、踊り切って見せた後に汗まみれで満足げな表情を浮かべた6人。

 「カッコよかった~!」と叫んだ大泉同様、熱唱を感動とともに見届けた私は、ふと「代名詞のようになってしまった下ネタは果たして、彼女たちにとって必要なことだったのか?」と思ってしまった。

 さかのぼること3日前。12月28日に行われたリハーサルでも本番さながらの熱唱を見せた6人が記者たちの待ち受けるホールCに登場した。

 その4日前の配信ライブで「2023年に解散する」と突然、発表して驚かせたBiSH。結成7年の集大成かつ最初で最後になるかもしれない紅白について、マイクを持ったセントチヒロ・チッチは「私たちBiSHは紅白にずっと思いを馳せてきて、出たい、出たいと言葉を投げかけてやってきたので、6人の思いでもあり、チームや清掃員(ファンの呼称)の人たちもずっと願ってきてくれたことなので、BiSHらしく気負わずに自分たちのありのままを出せるステージができたらいいなと思っています」と決意表明。

 2023年での解散について「ずっと前から決まっていたことで発表する日も決まっていた。BiSHとしては紅白と関係なく発表させていただきました」と明かした上で「まだ(解散まで)時間は長いです。楽しみにお待ち下さいませ」とチッチ。

 ここまでは良かったが、大泉が本番で紹介した通り、昨年11月の出場者発表会見でも円陣を組み、「せーの、チ〇ポ!」と男性器の呼称を叫んで大きな話題となった6人が、このままで終わるはずもなかった。

 本番での円陣について聞かれた途端、チッチは「円陣? これは言っても大丈夫な所ですか?」と見守るNHKスタッフに確認すると、「やっぱり、チ〇ポは私たちにとって欠かせないものなので、ルーチンとして(発表会見では)本当、自然に気合を入れてもらおうと思ってやったんですけど、本当、ぎりぎりセーフだったかなというところではあるんですけど…」と話した上で「本番はご迷惑をおかけしない程度に『サイレント・チ〇ポ」をさせていただこうと思います」と放送禁止用語を連呼して取材陣の笑いを誘った。

 「サイレント・チ〇ポ」という言葉の説明を求められ、「爪痕を残そうというよりかはBiSHなりのまんまを見てもらおうかなと言う感じでいかせてもらおうと思います」とチッチ。本番での「チ〇ポ!」絶叫は公共放送であるNHK的にもちろんNG。その言葉を笑顔で連呼するチッチに私は正直、違和感を覚えた。

 言いたくて口にしているのか。それとも言わされているのか。本人たちのしたたかな計算なのか。制作サイドの仕掛けなのか。

 ファンたちにはおなじみの光景だろうが、おじさん記者にはうら若き乙女が男性器の呼称を絶叫するのは、聞いていてキツかったし、「寒さ」も感じた。

 これが彼女たちの目指すパンクということなら、しようがない。ただ、ギャグとしてもすべっているし、リハーサル、本番とそのエンターティナーとしての実力が本物と思い知らされただけに、「そこに下ネタはいらないのに」と正直に感じた。

 来年1月から12か月連続リリースや全国ライブハウスツアーなどを予定しているBiSH。15年の結成後、16年5月に「DEADMAN」でデビュー。楽器を持たないパンクバンドの肩書きで型破りなパフォーマンスを披露してきた才能は本物だけに残念だった。

 だが、文句ばかり言っても仕方がない。川口は「めちゃくちゃな感じ」と表現したが、なんだかんだ言っても、この大人を苦笑させる「寒さ」、「すべり」も全部ひっくるめて、なんでもありなのが、BiSHの「まんま」の魅力なんだろう。

 正直に言う。彼女たちの歌う「プロミス―」や「PAiNT it BLACK」に、そこに漂う青春の揺らめきに、そのはかなさに、心を大きく揺さぶられた私は今、1年後の解散のその瞬間までその「めちゃくちゃな感じ」の到達点を見届けたいと思っている。(記者コラム・中村 健吾)

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